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第102話

進の喉仏が動き、体に溜まった衝動を抑えきれなくなっていた。

優子と愛し合ってから、進は彼女の前では自制が効かなくなっていた。

この中毒のような感覚は、彼のコントロールを超え始めていた。

進は優子をじっと見つめ、彼女の唇の端を指で押さえた。「君とキスしてもいいか?」

優子は驚いて口が少し開き、言葉を失っていた。進のその言葉に心臓が一瞬止まりそうになった。

彼の深い視線に見つめられ、彼女の全身が痺れるような感覚に襲われた。どうしてこんなにも率直にキスを求めることができるのだろう?

進と何か親密な行為をするたびに、優子は強い罪悪感を覚えた。

ましてや、キスなんてとんでもない。

特に、前回このアパートで進に無理やりキスされた場面がまだ頭から離れなかった。唇と舌が絡み合う感触や、キスの際に立てた耳まで熱くなる音、そして進の荒い呼吸が、まるでついさっき起きたように鮮明に蘇った。

考えただけで優子の耳は真っ赤に染まってしまった。

「……行かなきゃ」優子は進の目を避けた。

「優ちゃん、キスでも、君を抱きしめることでも……」進は顎をつかんでいた手を彼女の後頭部に移し、白く長い指を彼女の髪に滑り込ませ、頑なに彼女の答えを待っていた。「優ちゃん、君を慰めたいんだ。でも、どうすればいいかわからない。教えてほしい」

進が喉から発する一音一音が、優子に前回のキスを思い出させ、彼女の防御を壊していった。

「拒めるの?」優子は激しい鼓動を抑えながら問い返した。

進のアパートを出た後、優子はぼんやりと研究室に向かって歩いていた。

彼女の頭の中には、進が拒否されたときに意味深に笑った場面が繰り返されていた。

その笑みが何を意味しているのか、考える間もなく研究室に到着してしまった。

彼女は頭を振って複雑な感情を振り払い、午後の忙しい時間に没頭し始めた。

夜の七時半、太郎に無理やり研究室から連れ出され、防護服を脱いだ。

太郎は手袋を脱ぐ優子に牛乳を注ぎ、カウンターに寄りかかりながら聞いた。「お腹の子、どうするつもりなんだ?」

優子は顔を上げずに、手洗い場で手を洗っていた。「峻介に頼まれてきたの?」

優子は少し笑い出しそうになった。峻介は一体どこからそんな自信を持っているのだろう。自分が妊娠している子供が彼の子供だと思っているなんて。

「何度も言ってるけど、お腹の
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