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第61話

実験室で、森由教授はゴム手袋を外しながら言った。「来年3月、僕は招待を受けて半月ほどの交流会に参加する予定です。藤原辰也は実験を見守るために残るとして、他に二人連れて行く必要があります。年明け後に候補者を決めてリストを提出してください。もう一つ伝えたいことがあります…...」

森由教授は高橋優子の養母が亡くなったことを学生たちに伝え、高橋優子が戻ってきたら気を配ってあげるようにと念を押した。

午後、藤原辰也、渡辺綾子、森川律子からそれぞれ電話があった。

渡辺綾子は高橋優子が妹を連れて光風市に引っ越すと知り、すぐに北田菜奈の学校探しを引き受けた。

「私のおじは光風市中学の校長で、光風市中学はうちの大学からも近いの。任せて!安心して!」と大口を叩いた後、渡辺綾子は少し躊躇してから続けた。「優ちゃん、その…...ネットのことはあまり気にしないでね。先生がすでに霧ヶ峰市立大学でのことを話してくれて、実験室のみんなはあなたが高橋家族が言ったような人じゃないと信じてるから!」

霧ヶ峰市立大学の優秀な学生が薬を使って男性のベッドに上がったという話がネットで広まり、昨日の夜、とうとう誰かが高橋優子の身元を突き止め、番組『家族探しの記録』で高橋家族が話していた高橋優子と一致させた。

森由教授は、実験室の学生たちが高橋優子に対して誤解を持たないように、高橋優子と佐藤峻介が交際していたこと、そして後に事故で佐藤峻介を守ろうとして植物状態になり二年間も寝たきりだったこと、目覚めた後に佐藤峻介が他の人を好きになったことを話し、さらに自身の人格を持って高橋優子の品性が絶対にネットで言われているようなものではないと保証した。

渡辺綾子はその時、涙を流しながら、可哀想な後輩のことを思っていた。

「うん、ありがとう。渡辺先輩」高橋優子は感謝の言葉を述べた。

夜、森由教授は実験室のグループチャットにメッセージを送って、光風市大学はすでに休暇に入ったが、実験が差し迫っているため皆が学校に残ることを選んだことを知って、特別に予算を申請してボーナスを支給することにしたと伝えた。これにより、グループチャットは一気に賑やかになった。

藤原辰也はこの機会を利用して、高橋優子に皆で集めた気持ちを伝えようとして、彼女が受け取らないことを心配して、グループチャットにメッセージを投稿した。

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