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第66話

「颯真?」橋本美咲は顔を真っ白にして、震える声で言った。

氷川颯真は、橋本美咲がこんな調子で話すのを聞くと、心が少し動揺した。颯真は真剣に美咲を見つめて尋ねた。「美咲ちゃん、どうしたんだ?急に顔色が悪いぞ?」

心の中では少し後悔していた。まさか美咲ちゃんが自分が彼女に言おうとしていることを察したのか?

全て自分が悪かった、神経質にこんなことを調べるなんて。今となっては、美咲ちゃんに気づかれてしまった。数日前に彼女の心臓に少し問題があることが分かって、感情を大きく動揺させてはいけないと分かっていたのに。

「颯真、もしかしてあなたの体にも何か問題があるの?」橋本美咲は顔を青ざめさせながら、疑問を口にした。心の中は七転八倒していて、氷川颯真が本当に何か問題を抱えているのではないかと心配した。

氷川颯真は一瞬戸惑って、少し驚いた様子で尋ねた。「美咲ちゃん、どうしてそう思うの?

「僕の体は元気だよ。毎週二回ジムに行っているし、しかも毎月専属医にチェックしてもらっている。もし体に何か問題があったら、真っ先に君に知らせるよ」

橋本美咲は氷川颯真の説明を聞いて安心すると、胸を叩いた。「無事ならよかった。驚かせないでよ」

そして、氷川颯真を一瞥して続けた。「急に顔色が悪くなったから、颯真が何か重病にかかったのかと思ったわ」

氷川颯真は苦笑しながら、自分の妻は想像力が豊かだなと思った。「もちろん、そんなことはないよ」

「じゃあ、一体何なの?こんなに躊躇しているんだから、早く教えてくれないと、私、颯真のこともう知らないわ」

橋本美咲は少し怒った。

美咲は氷川颯真のことをこんなに心配していたのに、結局、颯真はなかなか本音を言おうとせず、時間ばかりを費やした。「まさか、あなた、浮気したの!?」

橋本美咲は氷川颯真を疑いの目で見た。そう思いたくはなかったが、しかし颯真の態度が怪しすぎた。それに、美咲は以前、黒崎拓也に裏切られた経験があって、トラウマになっていた。

美咲は悪い考えが頭を巡った。

氷川颯真は信じられないという様子で、堂々とこう言った。「もちろん違うよ。僕の心には奥さんだけだ。他の猫や犬なんて論外だわ」

そう言うと、ため息をついた。「どうしてそんなことを思うんだ?僕はそんなに信用できないの?」

「颯真が教えてくれないからよ」

橋本美咲は小さな声でぶ
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