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第73話

氷川颯真は不器用にボタンをかけていたが、どうしてもかけることができずにいた!氷川颯真は諦めた。もういいや、このままでも。明日の朝、美咲ちゃんに自分でボタンをかけてもらおう。

氷川颯真は自暴自棄になり、パジャマを橋本美咲に適当に着せた。

着せ終わると、掛布団を引き寄せ、橋本美咲を蚕の赤ちゃんのように包んだ。そして、自分もベッドに上がって、美咲を抱きしめた。そうしたいわけじゃなかった。もし、直接抱きしめると、氷川颯真はどうしても我慢できなくなるからだった。

しかし、颯真はそうしたくなかった。橋本美咲はまだ彼を心から信頼していなかったから。美咲に無理強いしたくなかったのだ。

翌朝、橋本美咲は暑さで目を覚ました。

ぼんやりと目を開けると、目の前には氷川颯真の顔があった。

毎日、氷川颯真の顔を見ている橋本美咲は、もう慣れていた。

しかし、今慣れていないのは…!!!橋本美咲は無言で頭を下げ、自分をしっかりと包んでいる布団を見て、少し絶望を感じた。

昨晩、自分が寝たときに、布団を全部引っ張ってきたの?こんなにしっかりと包まれて、どうやって出ればいいのか。

自分の寝相がそんなに悪かったの?

美咲は振り返ってみた。

待って!確か昨晩は疲れすぎて、そのまま浴槽で寝てしまったのだ。

橋本美咲はようやく重要なことに気づき、少し混乱した。じゃあ、自分はどうやってベッドに移動したの?

もしかして氷川颯真がベッドに運んだのか?

橋本美咲は恐怖を感じた。そうとしか考えられなかった。

ことの核心に気づくと、美咲は少し恥ずかしくなって、まだ寝ている氷川颯真の顔を見上げた。そして,布団の中で少し動きながら、布団から出ようとした。

おそらく氷川颯真がしっかりと包んだため、橋本美咲は何度やっても布団を剥がすことができず、ため息をついた。そして、先に氷川颯真の腕の中から転がり出た。

やっとのことで、橋本美咲は颯真を起こさずに、布団から抜け出すことができた。

布団から出ると、美咲は軽く息をついた。

身体が軽くなると、橋本美咲は何かがおかしいと感じた。どこかが、快適ではない感じがした。

美咲はためらいながら、手を背中に伸ばし、触ってみると…

下着のホックがかかっていなかった…

???

身につけた服も、颯真が着せてくれたのか?

それなら、身に着けた下着のホックが、かか
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