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第196話

須山と美咲は、仲良く肩を並べて車に戻った。今回は、須山が運転席に座り、美咲は自然と助手席に座った。車内は、二人の楽しげな会話と笑い声で満たされていた。

二人は楽しげにおしゃべりしながら車はゆっくりと高速道路に入っていった。

運転に集中したために、須山は会話を止めた。もし事故でも起きたら大変だった。

そんなことを考えていたのだろうか、彼の胸には漠然とした不安がよぎった。しかし、その不安は現実のものとなった。どこからともなく現れた大型トラックが、助手席側から車に突っ込んできた。

激しい衝撃に、須山と美咲は頭に鋭い痛みを感じ、エアバッグが開いた瞬間、二人は意識を失った。

目の当たりにした人々は慌てて119に通報し、大型トラックを取り囲んだ。

しかし、トラックの運転手は逃げる様子もなく、震えた手で暗幕組織のマークをその場に落とし、息絶えたのだった。

救急車がすぐに現場に到着し、美咲と須山、それにトラックの運転手も車内へ運び込んだ。医療スタッフは迅速に美咲と須山に緊急処置を施し、病院に着く前に命が絶たれないように尽力した。

須山の処置を担当した医師は、彼の顔を見た瞬間、驚きで一瞬呼吸が止まった。

しかし、彼はすぐに平静を取り戻し、焦りながらも正確な処置を施した。

間もなくして病院に到着し、

須山と美咲は急いで緊急治療室へ運び込まれたが、トラックの運転手は既に亡くなった。ドライバーは救命措置が無効と判断され、遺体安置所へ移された。

時が経つ中、病院スタッフは須山と美咲の家族に連絡を取ろうとしたが、事故の際に彼らの携帯電話が行方不明になり、連絡を取ったことができずに困惑した。

家族の同意がないと手術ができないため、

スタッフたちはどうすべきか焦り始めた。

その時、一人の医療スタッフが前に出て、「私、須山の従兄弟ですので、彼の代理としてサインできます。それと、もう一人の女性は彼の恋人だと思いますので、私が代わりにサインします」と申し出した。

その言葉を口にしたとき、医療スタッフは少し不安を感じたが、その女性の命を救うために、迷っていた暇はなかった。

この医療スタッフの保証のおかげで、二人はようやく手術にこぎつけることができた。

どれだけの時間が経ったかは分からなかったが、須山と美咲はついに手術室から運び出され、呼吸器をつけたまま、まだ意識が戻って
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