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第192話

美咲は、周囲の話題の中心になっていたことに気づかず、マイペースで仕事を進めていた。

最近、会社のランキングが大幅にアップし、目標に一歩近づいたことで、彼女の気分は上々だった。

しかし、昼夜問わず働き続けた身体は疲れ果て、美咲はこめかみを揉んで一息ついた。

「どうしてこんなに疲れているの?」彼女は目を閉じ、しばらく考え込んだ後、ため息をついた。

普段は仕事が終わった頃にはこんなに疲れていないのに、良い結果が出たせいで急に気が緩んでしまったのかもしれない、と彼女は思った。

そして、今日は自分に一日休暇を与えることを決めた。

オフィスを出て、部下たちに向かって、美咲は「今日は早く帰ろう。残りの仕事は終わったら、みんなも帰っていいぞ。そんなに残業しなくていいから」と伝えた。

彼女がそう言い終わると、部下たちは驚きを隠せなかった。

「さっき、残業をやめたことを言った人は本当に美咲さんだったか?

「あの仕事中毒者が、ついに私たちに休みをくれる日が来たなんて!「今日は残業せずに早く帰れるなんて、なんて素晴らしいことだ!」部下たちは感激で涙を流した。

これは最高だ!でも待って、何かおかしくない?

残業させてたのは美咲さんだったのに、どうして彼女に万歳って言ったの?

残業で頭がおかしくなったんじゃないの?会社の門を出ると、美咲は外の明るい光線に目を細め、久しぶりに日差しを感じた。

今までの生活がいかに暗く、日の当たらない日々だったのかを思い出し、彼女は心の中で自分を慰めた。

そういえば、自分がそんな日々を過ごしていたことは分かっていたのに、なぜそこまで自分を追い詰めたのだろう?今、彼女の顔には二つのクマができていた。

美咲は、久しぶりに自分に休暇を取ったが、どう過ごすべきか迷っていた。

最近、彼女は仕事に追われて忙しくしており、急にできた自由な時間に何をすれば良いのか分からなくなっていた。普通なら、家に帰って氷川に甘えてデートに誘ったのが定番だが、今日はその気分ではなかった。

氷川とはほぼ毎日会っていたし、彼もデートのために仕事を抜け出して面白い場所に連れて行ってくれたが、それが続くと新鮮味が失われたのではないかと考えていた。

彼にべったりしたのも、彼にとっては迷惑になったかもしれなかった。

もっとも、もし氷川がここにいたら、「そんなことはないよ
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