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第74話

言い合いで氷川颯真に勝てなかった橋本美咲は、怒って朝食を自分の口に詰め込んだ。すぐに朝食は全て食べ終わった。

最後の一口を飲み込もうとしたところ、美咲は激しくむせてしまった。

「ゴホゴホ!」彼女はテーブルにつかまりながら、大声で咳き込んだ。

氷川颯真が近づいてきて、橋本美咲の背中をさすりながら、水を手渡した。

橋本美咲は水を受け取り、ゴクゴクと飲み干して、ようやく落ち着いた。

「奥さん、大丈夫?」氷川颯真は「心配そうに」橋本美咲を見つめた。

橋本美咲の反応は、氷川颯真を白い目で見た。「全部あなたのせいよ。じゃないと、むせるわけがなかったわ!」

氷川颯真は何度も頷いた。「そうだね。全部僕のせいだ」

氷川颯真一家の食卓は、まるで日常コメディーの舞台のようで、毎日このような楽しいシーンが、繰り広げられていた。

二人がしばらく騒いだ後、氷川颯真はようやく座って朝食を食べ始めた。しかし、まだ半分も食べていないうちに、橋本美咲の携帯が…

またまたまた…鳴り響いた。

美咲は警戒しながら携帯を開き、相手が長谷川千夏であることを確認した。

橋本美咲はほっと息をついた。今回は知らない番号ではなかった。

美咲は応答ボタンを押した。「もしもし?美咲ちゃん?」

電話向こうの元気いっぱいの長谷川千夏の声が聞こえてきた。

橋本美咲も嬉しいが、不満そうに言った。「電話してきたのに、美咲ちゃんかどうかを聞くの?」

「だって、美咲は結婚したじゃない。誰が電話に出るか分からないでしょ、あなたの旦那かもしれないし」

長谷川千夏はぶつぶつと橋本美咲に文句を言った。「結婚してから、美咲ちゃんの頭の中には旦那しかいないでしょ。私を放ったらかしにして、一度も連絡してくれなかったじゃない」

橋本美咲は少し申し訳なさそうに言った。「ごめんね、千夏、最近本当に忙しかったの」

「嘘ばっかり。本当はあのクソ男とべったりしてただけでしょ」

橋本美咲は頭を抱えた。クソ男…

いくらなんでも、氷川颯真をクソ男呼ばわりするのは少し酷すぎた。でも、今は親友が怒っているのだから。

橋本美咲は千夏の機嫌を損ねないように、優しく言った。「ごめんね、今日は時間があるから、一緒に過ごさない?」

「それじゃ、約束よ。絶対に嘘つかないでね」

返事の速さに、橋本美咲は長谷川千夏がずっとこの近くに待ってい
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