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第82話

美咲は、テートの時間を約束した後、少し落ち込んだ様子で電話を切った。

千夏は「どうしたの?氷川さんが心配して早く帰ったように言ったの?」と尋ねた

美咲はため息をつきながら、「最近、仕事が忙しくて颯真と一緒に過ごす時間がなかったの。やっと今日休みを取れたのに」と答えた。

「彼は私とのデートを楽しみにしているけど、あなたと遊ぶ約束があったから、仕方なく夜に映画を観に行くことにしたの」

でも、今…

美咲はふと気づくと、空がすっかり暮れていた。

「でも、こんなに遅くなっていたなんて、美咲は全然気づかなかった」

千夏は親友の言葉を引き取って言った。美咲は頷き、「だって、こうでもしないと彼にずっと邪魔されてしょうがないからね」と千夏に少し愚痴をこぼした。

その時、千夏の電話も鳴った。

まさか…

美咲はからかうように言った。「ねえ、早く電話に出るよ。彼氏からかもしれない」

千夏は不本意そうに携帯電話を取り出した。「こんなに運が悪いはずがない」

僕はそんなに不吉なことを呼び込んだ人間じゃなかったのに。

千夏は発信者の名前を見て言葉を失い、長い間黙ってしまった。

美咲は千夏の困った顔を見た瞬間、千夏の彼氏は電話がかけてきたことをわかった。

美咲は勝ち誇ったように笑い、「ほら見ろ!やっぱり、彼氏から電話が来たじゃない。早く電話に出なさいよ」

千夏は不満を抱えながら電話を受け取った。彼女は、「今このタイミングで電話をしてくるなんて、私に恥をかかせようとしているのね。帰ったらしっかりとお返ししてやる」と思っていた。

「何?」

「千ちゃん、いつ帰るか」

電話の向こうから佐藤直樹の心配そうな声が聞こえた。彼氏の声を聞いた千夏は少し眉をひそめた。

「美咲と買い物してるから、そんなに急がないで。大丈夫だ」

「でも、千ちゃんのことが心配なんだ。

「それに、夜は女の子たちだけでも少し危ないから」

佐藤は妻の気持ちを深く理解しており、優しく声をかけたことで、千夏の怒りはすっかり解けたようだった。

「どうするつもり?」

同時に、千夏も「迎えに行こうか?」と彼が優しく聞いた。

千夏は少し戸惑いながらも、「あなたが迎えに来るの?」と聞いた。

佐藤は「うん、そうだよ」と優しく答えた。

でも、美咲は…

でも、美咲の夫も迎えに来る予定だから、三人で一緒にいた
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