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第89話

翌朝、美咲は満足そうに起き上がり、大きく伸びをした。「思いっきり楽しんだ後の眠りはやっぱりいいなぁ!」

彼女は目をこすった。しかし、布団には誰もいなかった。美咲は振り返ると、氷川はまだ寝ていたが、彼の掛け布団は別のものだった。

その布団は客室から持ってきたようだった。

美咲は何かをつついて集中した癖があった。

でも、今回は柔らかい布団ではなく、滑らかな肌をつついていたとは気づかなかった。

しばらくすると、彼女の指は大きな手に優しく包まれた。「朝から何してるの?」

「何も…何もしてないです」顔を赤らめた美咲は答えた。

そして、自分がつついていたのが氷川の顔だったことに気づいた。

氷川は眠そうにベッドから出て、目をこすった。昨晩はよく眠れなかったので、少し疲れていた様子だった。

何も知らなかった美咲は彼の様子に気づき、「颯真、昨日はあまり眠れなかったの?顔色も悪いし、目の下にクマがある」と心配そうに聞いた。

氷川は、夜中に彼女が布団を取ったことを言わず、「さあ、早く朝ご飯を食べに行こう」と彼女を促した。

でも、美先は、今日は夫に家で休んでもらおうと心に決めた。

彼女が部屋を出た後、氷川はゆっくりと体を起こし、身支度を整えてから洗面所に向かった。

その途中で、昨夜お母さんから送られてきたメッセージを確認した。

氷川は眉をひそめてから、ため息をついて電話をかけた。

すぐに電話がつながり、「社長、ご指示がありますか?」と聞かれた。

「夫人はどこにいったか」と氷川は尋ねた。

アシスタントは一瞬戸惑いながらも、「社長のそばにいらっしゃるのでは?」と答えた。

「僕のお母さんのことだ」氷川は明確にした。

今美咲も夫人なので、今後直接にその女をお母さんと呼んだ方がよかった。

「僕のお母さんのことだ」氷川は明確にした。

アシスタントはすぐに理解し、「少々お待ちください、すぐに確認します」と言った。

氷川は穏やかな声で「うん」と答え、ベッドサイドにゆったりともたれながら、アシスタントが返事をしたのを待っていた。

「社長、夫人は今朝六時三十分の便で帰国されます。既に飛行機に乗られていると思われますが、空港までお迎えに参りましょうか?」とアシスタントは報告した。

それを聞いた氷川は「必要ない」と短く答えた。
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