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第69話

橋本美咲は理解し、ため息をつきながら颯真に白い目を向けた。

「分かったわ、あなたの女の子を口説く方法は全部お金で築かれているのね。こんなに手慣れているなんて」

そう言うと、自分の手で氷川颯真を叩いた。颯真は、愛らしい妻の甘えに仕方なく応じた。表では許しを請っていたが、内心では喜んでいた。「何を言ってるんだい?奥さん、僕には確かにお金はあるけど、女の子を遊び半分で誘ったりなんて、一度もしたことがなかったわ。こんなに心を砕いて大切にするのは、もちろん奥さんだけだよ」

この男はずるいわ…

橋本美咲は氷川颯真を叩く手を下ろし、代わりに顔を覆った。彼がそう言ったら、もう叩けなくなってしまったのだ。

橋本美咲が手を放したのを見ると、氷川颯真はさらに調子に乗って、彼女の顔に近づき、軽くキスをした。「奥さんが叩かないということは、許してくれたということだね」

「調子に乗らないでよ」橋本美咲はそう呟きながらも、避けることはしなかった。二人は笑いながら、庭で長い時間を過ごした後、やっと別荘に戻った。

橋本美咲は腰を伸ばして、嬉しそうに氷川颯真に言った。「今日は本当に楽しかったわ」

「なるほど、奥様と坊ちゃんはとても楽しんでいたんですね?!」

悪魔のような声が橋本美咲と氷川颯真の耳に届いた。二人はロボットのように、ぎこちなく頭を回した。

そこには笑顔の相馬さんが、テーブルのそばに立っていた。テーブルには冷めた料理が並んでいた。「そんなに楽しんでいた坊ちゃんと奥様は、夕食を食べなくてもいいんですよね?」

橋本美咲と氷川颯真は、やっと自分たちが何を忘れていたのか理解した。颯真がシェフを雇ってから、食事の時間はもう自分たちで決められるものではなくなっていたのだった!!

橋本美咲はぎこちなく相馬さんに近づき、なんとかごまかそうとした。「相馬さん、ごめんなさい。

「私と颯真は、庭で仕事をしていた時間が長くなってしまったから」

相馬さんはせせら笑いながら、氷川颯真と橋本美咲を見つめた。

「でも、奥様はさっき、坊ちゃんと遊んでいて、とても楽しかったと言っていましたね。どんな仕事が、そんなに楽しいんだい、クロスワードパズルかい?」

氷川颯真はその場で凍り付き、橋本美咲も恥ずかしくてたまらなかった。

しまった!

相馬さんに全部聞かれてしまった。もうおしまいだ。

「弁明
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