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第65話

この日は氷川颯真が、心ここにあらずの状態で終わった。仕事が終わると、颯真は急いで自分の車に乗り込み、橋本美咲の会社へと急いだ。

会社の社員たちは皆、疑問に思っていた。「今日の社長、どうしたんだ?なんでそんなに急いでるの?」

「奥様に会いに急いでるんじゃないか?」隣の人が推測した。

「社長夫人がいるって聞いたけど」

「なるほどね」別の人が納得して、少し笑いながら言った。「英雄も美人には弱いってことだな。社長にもそんな日が来るなんて」

「本当だよな!」

氷川颯真は会社の社員たちの噂話には気づかず、今も心配でたまらなかった。どうやって妻にあのことを、説明すればよかったのか、分からなかったのだ。

まもなくして橋本美咲の会社に到着すると、颯真はビルの下で、悩みながら美咲を待った。

約15分後、橋本美咲は急いで降りてきた。美咲は息を切らし、しばらくしてようやく姿勢を正した。

「どうしてそんなに早く来たの?私が見つけなかったら、どれくらい待つつもりだったの?」

氷川颯真は心配そうに橋本美咲を見つめ、車の中からミネラルウォーター一本を取り出して、彼女に手渡した。「そんなに急がなくてもいいんだ。少し待つくらいで何ともないわ、ゆっくり歩いて」

橋本美咲は頷いた。「分かった、次からは気をつけるわ」

その後、氷川颯真は橋本美咲のために助手席のドアを開けた。美咲は車に乗り込み、シートベルトを締めた。そひて、颯真がエンジンをかけ、家へ向かった。

道中、二人の間には少し静かな雰囲気が漂っていた。氷川颯真は眉をひそめ、どうやって妻にあのことを話すべきか考えていた。橋本美咲もまた、少し心配そうに颯真を見つめていた。

今日はどうしたのかな、少し不機嫌に見えた。会社で何か問題があったのだろうか?しかし、氷川颯真は妻の視線に気づかず、どうすればいいのか頭を悩ませていた。そんな沈黙の中、二人はようやく家に到着した。車を停めると、橋本美咲は急いで車から降り、一息ついた。さっきの雰囲気は本当に怖かったのだ。

張本人の氷川颯真はまだ眉をひそめてぼうっとしてた。

橋本美咲はそんな氷川颯真を見て心配になった。今日は何か大きなことがあったのだろうか?グループが倒産するのか?

橋本美咲は唾を飲み込み、車を降りたばかりの氷川颯真のそばに来て、彼の袖を引っ張った。

氷川颯真は我に返って、温
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