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第48話

橋本月影は得意げに無表情の橋本美咲と氷川颯真を一瞥した。まるで、黒崎拓也が彼女のために、一矢報いたことに喜んでいるようだった。

そして再び、黒崎拓也に注意を向けると、顔に柔らかな表情を浮かべた。「たっくん、これから、誰に会いに行くの?」

黒崎拓也は橋本月影の頭を優しく撫でながら答えた。「今回は仕事で出かけるんだ。だから帰る時は、服を着替えなきゃ。ドレスを用意してあるわ。これから会う人は実は大物で、それは氷川グループの社長なんだ。今回の投資について話し合う予定だよ」

橋本月影は驚いて口を手で覆った。「氷川グループ?あの、世界中に事業を展開している。世界一の富豪が率いていて、非常に力のあるグループのこと?」

黒崎拓也は頷いた。「行こう」

「待て、行く必要はないわ」氷川颯真は冷ややかに橋本月影と黒崎拓也を呼び止めた。

黒崎拓也は苛立って振り返った。「何だ、お前みたいなヒモ男がまた何の用だ?」

氷川颯真は静かに黒崎拓也に言った。「行く必要はない。氷川グループは、もうこれ以上、黒崎グループに投資しないからだ。

「それだけでなく、今日から、黒崎グループは氷川グループのブラックリストに載るわ」

黒崎拓也は軽蔑な眼差しで氷川颯真を上から下まで見た。「何様のつもりだ。お前の言うことは絶対なの?」

氷川颯真は黒崎拓也を一瞥すると、ポケットから携帯を取り出して、電話をかけた。

電話はすぐに繋がった。氷川颯真は無駄話をせずに、指示だけを出した。

「今日の予約に、黒崎グループのものがあるだろう。それをキャンセルしろ。

「それから、今後、黒崎グループをブラックリストに載せ、関連すべての取引を断つように」

氷川颯真が電話を切ると、黒崎拓也は呆然と彼を見つめた。

何も言う間もなく、黒崎拓也の携帯がすぐに鳴った。

不吉な予感が、拓也の胸に広がった。

黒崎拓也が電話に出ると、秘書の焦った声が聞こえてきた。「大変です。黒崎社長。氷川グループの社長が突然我々との予約をキャンセルしました。

「それと同時に、我々が氷川グループと共同で行っていたすべてのプロジェクトが、一方的に中止されました!」

黒崎拓也は目の前が真っ暗になり、震える声で秘書に問いかけた。「今何て言った?」

秘書が繰り返そうとした瞬間、黒崎拓也はそれを遮った。「もう一度言う必要はない。ただ、我々の株価がど
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