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第42話

氷川颯真は目を閉じていれば難を逃れられると思っていた。しかし、目を閉じて10分もしないうちに、隣にいる妻が、頻繁に寝返りを打ち始めた。

氷川颯真は憂鬱そうに目を開け、妻の動きを見つめた。心の中で少し無念な気持ちになった。今夜の出来事が原因で、彼女は安眠できていないのだろうか?

颯真は少し心配になった。しかし、その心配も束の間で、妻が数回寝返りを打った後、ベッドの端に向かって転がり始めたのだった!

氷川颯真はすばやく橋本美咲を引き戻し、ほっと息をついた。

もう少しで、美咲が落ちたところだった!

まだほっとできなかった!

橋本美咲は温かく厚みのあった熱源に近づくのを感じ、安心してすり寄った。まるでタコのようにしがみついた。

氷川颯真の心は再び緊張した。温かく柔らかい妻が抱きついていたのに、今夜どうやって寝ればいいの?

颯真はため息をつき、今夜の提案が軽率だったのではなかったかと思い始めた...

しかし、熟睡中の橋本美咲の美しい顔を見て、再度ため息をついた。結局、彼女を放り出すことはできず、逆にしっかりと抱きしめ、布団をかけ直してあげた。

翌朝に冷たい水でシャワーを浴びることくらい、大したことないわ。体は丈夫だから!

いくら浴びても問題なかったわ。

氷川颯真は体の熱を抑えつつ、「冷静」に目を閉じた。

良い夢を。

朝、温かい日差しがカーテンを閉め忘れた窓から差し込み、ベッドにいる二人の顔に照りつけた。

橋本美咲は目をこすり、苦労して夢の世界から現実に戻ってきた。

目を開けると、氷川颯真のハンサムな顔が目の前にあった。

しかし、昨夜よく眠れなかったせいか、氷川颯真の目の下にはクマができていた。

橋本美咲は心配そうに手を伸ばして、氷川颯真の目の下のクマをそっと触った。

しかし、ちょっと触っただけで、彼女の手はすぐに自分よりも大きな手に握られた。

目の前のハンサムな男性は目を開け、眠そうにあくびをした。そして、もう一方の手で橋本美咲の腰をぎゅっと抱きしめ、さらに自分の体へ引き寄せた。

「ふざけないで、まだ早いから、もう少し一緒に寝よう」

橋本美咲は顔を赤らめ、氷川颯真の手から自分の手を引き抜いた。

氷川颯真はそれを気にせず、橋本美咲の後頭部に手を回した。

「昨夜は遅くまで起きていたから、今日は特に予定もないし、もう少し寝よう」颯真は
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