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第156話

橋本美咲の動きが止まった。彼女は黒崎拓也の方へ顔を向け、信じられないような目で彼を上から下まで見やった。

なんてことだ!以前はこの男が、こんなに厚かましいとは気づかなかった。しかも、厚かましいだけでなく、身の程も弁えないとは。

以前の自分は目が見えなかったのか、こんな男に惹かれたなんて!「あんたが間違っていないと言うのなら、その間違いを誰のせいにしたいの?

「橋本月影?それとも…」

黒崎拓也は橋本美咲の軽蔑の眼差しに全く気づかなかった。「確かに一部は橋本月影のせいだ。彼女が俺を誘惑しなければ、そんな過ちを犯すことはなかっただろう?」

ましてや…

彼は数日前の橋本月影の狂ったような行動を思い出すと、数日前から月影に対する嫌悪が爆発したように感じた。そんな狂った女、以前はなぜ優しくて純真だと思ったのだろう?そして、目の前のきちんとしている橋本美咲と、彼女が会社を見事に運営している能力を見ると、黒崎拓也は後悔の念を抱かずにはいられなかった。

自分は以前、きっと彼女を誤解していた。目の前の橋本美咲は以前の陰鬱な姿とは全く違った。やはり自分が彼女をよく理解していなかったのだ。

きっと橋本月影が自分の目を欺いていたに違いない。そうに決まっている!

橋本美咲は黒崎拓也がこれを言い放った時の確信に満ちた表情と、自分に向ける段々柔らかくなる視線に、ぞっとした。美咲は全身に鳥肌が立つのを感じた。

なんてことだ!黒崎拓也は本気でこんなことを考えているのか!まさにクズ男とビッチのコンビだわ!

橋本美咲は呆れて無言になった。彼女は黒崎拓也と関わりたくなかった。ただ、この気持ち悪い男が、自分から遠ざかることを望んでいた。

言い訳を見つけた黒崎拓也は、まるで自分を納得させたかのようだった。彼は橋本美咲が黙り込んだのを見て、何かいい策を見つけたかのように感じた。

黒崎は一歩前に進み、橋本美咲に近づいて、情熱的に彼女を見つめた。

「橋本美咲、俺が間違っていた。多分この件には解決策がないと思う。だから橋本月影を精神病院に送ったんだ。

「もう怒らないで。もし可能なら、氷川さんに我々の黒崎グループを攻撃しないように頼んでくれないか?」

黒崎拓也は、心の中で得意げに企みを練っていた。もし橋本美咲の許しを得られれば、氷川颯真もきっと黒崎グループをもう攻撃しないだろう。

それに
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