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第159話

「マジか!この人、自分を何様だと思っているんだ?警察を脅すなんて。本当に命知らずだな!」

「こんな社会のゴミがまだこの世に存在しているの?」

「この人、自分が黒崎グループの社長だって言ってなかった?よし、お前の会社の商品はもう使わない」

「お巡りさん、かっこいい!よく言った!」

予想通り、黒崎グループの株価は大幅に下がり、ほとんどストップ安に近づいた。その上、自分の株を売ろうとしていた株主も我慢できずに、手持ちの株を売り出した。

しかし、今の黒崎グループはそれどころではなかった。自社の社長が事件で拘留された。黒崎会長が自社のグループで切り盛りしてるため、リーダー不在とは言わないまでも、かなりの混乱状態だった。

多くの社員が黒崎会長に退職届を提出した。その理由は様々だったが、明らかに黒崎グループが崩壊する前に、早く新しい道を探したいという意図だった。

黒崎会長はもともと高齢で、加えて若い頃から遊び好きだったため、ご自身の健康状態は芳しくなかった。今回のことで激怒し、持病が悪化したせいで、そのままオフィスで倒れてしまった。

幸い、助手がすぐに気づき、急いで病院に運んだため、黒崎会長は一命を取り留めた。

目が覚めた黒崎会長は、休む間もなく病床から降りた。理由は二つあった。一つは、今の黒崎グループには彼がいなければ、組織が混乱しかねないこと。

もう一つは、警察の知り合いに黒崎拓也を、救い出さなければならないことだった。

プルルル、プルルル…

黒崎会長は電話の呼び出し音が、これほどまでに焦燥感を、もたらすものだとは思ってもみなかったが、幸いにも相手が電話に出た。

黒崎会長の顔に喜びが浮かべた。「もしもし、星川署長か?」

星川署長は気だるそうに電話を見つめながら答えた。「そうだ、黒崎。今日は何か用事かい?」

黒崎会長の声には焦りが満ちていた。「星川、儂らは長い付き合いの友人だろう」

「もういいって。そんなに気を遣わなくても」

星川署長の声にはあからさまな苛立ちが感じられた。「用事があるなら早く言って。こっちも忙しいんだ。たくさんの仕事を抱えていてね」

星川署長のその態度を聞いて、黒崎会長は何か凄く悪い予感がした。しかし、ダメな息子のためには、頭を下げて頼まざるを得なかった。

「そんなに大したことでもないけど。ただ、うちの倅が最近ちょっとした
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