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第160話

黒崎会長は疲れ果てて椅子に倒れ込んだ。どうしてこんなことになってしまったの?黒崎家はこの町でそれなりの影響力を持っていて、少なくとも地元の有力者といえる存在だった。

ところが今、自分の息子は拘置所に入れられ、黒崎グループの株価は大きく変動し、あの大株主も持ち株を売り払っている。このままでは黒崎グループは、黒崎家の手を離れてしまうだろう。

これらは一体いつから始まったのか?黒崎会長は振り返ってみた。どうやら息子が橋本月影と結婚してからのようだった!

一瞬の閃きが黒崎会長の頭をよぎった。

きっと橋本月影が災いをもたらしたのだ。彼女が黒崎家に悪運をもたらしたに違いない。それに、この前、息子を殴り倒したこともあった!

黒崎会長は深呼吸をして、なんとか心を落ち着かせようとした。橋本家を責めたい気持ちでいっぱいだったが、今は橋本家と衝突する時ではなかった。しばらく様子を見よう…

黒崎会長は橋本父に電話をかけた。

「もしもし、橋本か」

怒りを抑えた黒崎会長は、普段と変わらぬ口調で話しかけた。対する橋本父も特に異変を察知することはなかった。

しかし、彼は黒崎会長に対してあまり良い感情を抱いていないようだった。「何の用だ?」

「橋本よ、今黒崎グループが少し問題に直面しているんだ。お前のコネを使って、拓也を拘置所から出してもらえないか?儂は今手が離せないんだ、頼むよ」

橋本父は眉をひそめ、鼻で笑った。「お前は儂の娘を精神病院に送ったくせに、儂に黒崎拓也なんかを助けろって?冗談も休み休み言え!」

実は、橋本月影が精神病院に入れられた時、橋本美奈は既にこのことを夫に伝えた。当時の橋本家は黒崎家と対立するつもりでいた。

しかし、黒崎家は数多くの恩恵を与えて、さらにはビジネス上の便宜も約束した。だから、橋本父はその利益に目がくらみ、この件を見て見ぬふりをすることにした。

橋本美奈に関しては…

彼女は当然納得していなかった。娘はあんなに素晴らしいのに、どうして精神病院に送られなければならないのか。だから、家の中で大騒ぎしたが、橋本父に抑えられてしまった。

もちろん、それは元々の話しだった。今や、黒崎家が大きな問題に直面していることを、橋本父が知らないはずがなかった。しかも、黒崎拓也が拘置所に入れられた理由も、既に調べが付いた。

もう黒崎家からの大きな利益が得られ
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