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第154話

正確な病院名を確認した後、橋本美咲は車を飛ばしてその精神病院へ向かった。

精神病院に到着すると、目に入ったのは病院のロビーだった。

看護師が一人、受付に座りながら暇そうに自分のネイルを眺めていた。誰かが入ってきたのを見て、少し姿勢を正したが、特に何も言わなかった。

橋本美咲は前に進み、彼女に尋ねた。「すみません、橋本月影さんはどの病室にいますか?」

看護師は微笑みを浮かべた。「お嬢さん、もし橋本月影さんにお見舞いしに行くのなら、やめた方がいいですよ。彼女は旦那さんに連れられてきたんですけど、かなりの攻撃性が持ってるんです」

橋本美咲は、自分の名誉にかけて、以前の橋本月影が精神病患者ではなかったと断言できる。しかし、なぜ月影が精神病院に送られてきたの?

橋本美咲は少し考えた後、やはり看護師に近づいて言った。「それでも彼女をお見舞いしたいです。私は姉の、橋本美咲です。これが身分証明書です」

美咲は自分の身分証明書を見せた。

受付の女性は橋本美咲の身分証明書を受け取り、情報が正しいことを確認すると、これ以上美咲を止めることはなかった。ただ記録を取って、橋本月影が入院している病室の位置を告げた。

橋本美咲は看護師の指示に従い、橋本月影の病室に向かった。

美咲は中に入ることができず、ただ窓の外から橋本月影を見ていた。

理由はスタッフによる制止だった。彼らの説明によれば、橋本月影には凄く強い攻撃性があり、美咲の安全のために、病室への立ち入りを禁止した。

橋本美咲は仕方なく、窓越しに橋本月影を見つめた。

最初、橋本月影は橋本美咲に気づかず、手に持ったユリの花を弄っていた。

橋本美咲が窓をノックすると、橋本月影はぼんやりと顔を上げ、美咲に気づいた。

月影は凶悪な表情を浮かべ、橋本美咲の方へ突進してきた。

しかし、病室のガラスに阻まれた。

橋本美咲は橋本月影に驚かされ、怖くて一歩後退した。目の前の凶暴な月影を見つめ、自分の記憶を疑い始めた。

もしかして、橋本月影は本当に精神病患者なのか。そうでなければ、なぜこんな表情をするのだろう。

病室の中の橋本月影は橋本美咲に向かって大声で罵った。「このアマ、私をこんな目に合わせて。私の会社を倒産させただけでなく、たっくんの会社まで巻き込んで。拓也、黒崎拓也もクソ野郎だ…」

月影の残りの言葉が、橋本美咲には
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