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第135話

橋本美咲は笑顔を浮かべて前に進み、目の前の木村社長と握手をした。「説明の機会をいただきありがとうございます。また、我が社へようこそ」

すでに35歳の木村社長は、目の前の落ち着いた様子で、まだ20代の橋本美咲を見て少し驚いた。

この会社の社長が20代の若い女性だとは思ってもみなかった。以前電話で話した時の彼女の断固とした態度を思い出し、彼の目には一抹の感心が浮かんだ。大らかに橋本美咲と握手を交わした。

挨拶が終わると、橋本美咲は木村社長を会社の中へ案内した。「木村社長に我が社を紹介したいところですが、今日はもっと重要なことがあります。

「ここで改めてお詫び申し上げます。この件でご足労をおかけして申し訳ありませんが、これは我が社の信用問題に関わることですので、決して疎かにはできません」

橋本美咲の礼儀は完璧で、言葉からも彼女の教養が伺えた。

木村社長は橋本美咲にますます感心し、手を振った。「問題ない。もしこの件が貴社の過失でないのであれば、もう一つの会社の信用に問題があるということだ。より良いビジネスパートナーを見つけるために、ここに来たまでだ」

橋本美咲の顔には微笑みが浮かんだ。木村社長は彼女に対して好意的に思ってくれているようで、これで話がしやすくなった。

「では、会議室へどうぞ」

橋本美咲は木村社長の前を歩いて案内した。

木村社長は焦ることなく橋本美咲の後を歩いていた。会議室に向かう道中、彼はただ歩くだけでなく、会社の他の社員たちをじっと観察していた。

会社の社員の精神状態や規律の厳しさは、その会社の成功を決定づけた。そのため、木村社長は会社の社員が皆、意欲に満ちて、規律正しく、仕事が着実にこなしてるのを見て、思わず感心した。

橋本社長が20代の若い女性でありながら、会社をこれほどまでに運営できたなんて。本当に若き天才の出現に目を瞠ったわ。

同時に、この漫画盗作事件についても疑念が湧いた。これほどまでに会社を運営できる人が、部下にそんなミスをさせるはずがなかった。何か裏があるかもしれない。

まもなく、橋本美咲と木村社長は会議室に到着した。

「どうぞ」

橋本美咲は椅子を引いて座った。木村社長も美咲の向かいに座った。

「早速ですが、率直に申し上げます。この前、月見会社が提供したという証拠をお持ちでしょうか?」

木村社長は迷わず、ブリ
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