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第70話

玲奈は女の子だけど、まるで男の子のような頼もしさがあった。自分も怖がっているのに、私の手をしっかり握りしめて、「一緒に生き抜くわよ」と誓ってくれた。

私はとても感動し、心の中で誓った。もしこの危機を乗り越えられたら、これからは玲奈と一生の姉妹になり、彼女のためなら何でもしてあげようと。

「君、なんとか玲奈、さっさと消えろ。僕が用があるのは美咲だ」彼は手を振りながら、不機嫌そうに言った。

この男、翔太兄ほどの身長はないものの、十分に高く、筋肉質で、一見して強そうだった。

終わった。今回は本当に殴られるかもしれない。

「嫌だよ。絶対に行かない」玲奈は義理堅く、私と一緒に残ると言ってくれた。

「なら、仕方ないな」悠斗は私たちから2メートルも離れていないところで立ち止まり、両手を後ろに組んで、口にどこから拾ってきたか分からない草をくわえながら、まるでチンピラのような態度で言った。「命を捨てたい奴がいるとはな、バカめ」

「女の子をいじめるなんて、男として恥ずかしくないの?」玲奈は本当に恐れ知らなかった。

「僕はいい男になろうなんて思っちゃいない」悠斗はゆっくりと近づいてきた。

私は玲奈を後ろに押しやり、動画で見たことのある護身術を思い出そうと必死になった。まず喉を締めるべきか、目を突くべきか、それともチャンスを見つけて彼の急所を蹴り上げるべきかと考えた。できればこの一撃で彼を倒してやりたかった。

動画では言っていた。急所への一撃は、男性の攻撃者に対して最も効果的で、長続きする技だと。

こんな時、電気ショック棒を持っていなかったことを本当に悔やんだ。もし持っていたら、悠斗が近づいてきた瞬間に最大出力で感電させてやったのに。

どの技を最初に使うべきか考える間もなく、悠斗はすでに猛然と飛びかかってきた。「明日香をいじめたな、今日はしっかりお仕置きしてやる」

女性に手を出すなんて、なんて卑劣なんだ。

私は心を決め、目を閉じて両手を同時に振りかざし、どこでもいいから彼に反撃しようとした。掴むでも引っ掻くでも、何でもいい、とにかく抵抗しなければ。

負けると分かっていても、ただ黙ってやられるわけにはいかない。最後の抵抗を示すことが、私のプライドの問題だった。

準備を整え、足を踏み出そうとしたその瞬間、「ああっ!」という叫び声が聞こえた。

目を開けると、悠斗
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