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第97話

冬休みもどうせ一人だろうと思っていたが、出発の日の朝、寮を出たところで翔太兄が荷物を背負って待っていてくれた。「もう2年も帰っていないから、家に戻って正月を過ごすようにって言われたんだ」と彼は言った。

私は嬉しくて飛び上がり、「どうして前もって教えてくれなかったの?」と尋ねると、翔太兄は「サプライズにしたかったからさ」と笑った。

まあ、確かに驚いた。

翔太兄と一緒の帰省は本当に楽だった。私は子供のように彼に甘えて、丁寧に世話をしてもらった。

家のドアを開けたママは、私が翔太兄と一緒に帰ってきたのを見て、最初は少し驚いた顔をしたが、すぐに嬉しそうに声をかけた。

「翔太君、帰ってきたのね。ますますかっこよくなって。美咲ったら相変わらず甘えん坊で、学校で迷惑かけてないかしら?」ママは私の荷物を受け取りながら、翔太兄を家に招き入れた。

「そんなことないですよ。美咲はとてもいい子で、全然迷惑じゃないです。彼女の世話をするのはむしろ楽しいです」翔太兄はママと少し話した後、自分の家のドアをノックした。

ほんの数秒後、おばさんの大きな叫び声で耳が痛くなった。

「彩花おばさん、すごく喜んでるね」ママは微笑みながら私の荷物を片付けつつ、普段は冷静を装っている彩花おばさんが実は心の中で翔太兄のことをとても想っていて、いつも彼の話をしているのだと教えてくれた。

パパはいつもより少し遅く帰ってきた。私は事前に帰ることを言っていなかったので、パパは私を見て目を丸くした。「おや、お帰り、娘。なんで前もって教えてくれなかったんだ?いいものを買ってきてないよ」

翔太兄が帰ってくるとは、叔父さんとおばさんも予想していなかったようで、拓海も驚いていた。

彼は私たちより早く休暇に入ったが、一日遅れて帰ってきた。明日香が東京町で遊びたいと言ったからだ。

拓海が帰ってきた日に、叔父さんとおばさんは特別な集まりを開いた。「翔太君がいないと寂しいから、今回こそは家族みんなで集まって食事をしよう」と言って、拓海が到着したらそのままレストランに行って食事をしようと提案した。

いわゆる団らんの食事、みんなが集まっていたが、思ったほど和やかではなかった。

明日香が拓海と一緒に来たのは、誰も予想していなかったことだった。

二家族の八人が一緒にテーブルを囲んで座っていたが、その場の雰囲気は一瞬で
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