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第100話

ただ、確かに明日香が私を疑うのも無理はない。桜華大学での彼女のことを知っているのは私だけだから。

食卓の雰囲気は異様に重苦しく、居心地が悪かった。来なければよかった、つまらないなと思った。

私は叔父さんと叔母さんに軽く挨拶をして先に席を外した。

明日香がどう思おうと構わない。やってないのに責任を負うつもりはないし、彼女の誤解も恐れない。

このレストランは民家風の造りで、意外にも小さな裏庭があった。青石の小道が庭を二つに分けており、左側にはいくつかの野菜が植えられている。気温が少し低く、葉っぱは濃い緑色をしていた。

右側には竹製の茶卓と数脚の藤椅子が置かれていて、二つの模様が彫られた石の台座もあった。さらに奥には井戸があり、その隣には木の桶が置かれていた。庭全体の配置は少しレトロな感じがした。

私は藤椅子に座ってスマホをいじりながら、食卓の騒ぎから離れていた。

どれくらい経ったのか分からないが、突然視界が暗くなり、気づくと誰かが向かいの藤椅子に座っていた。「さすがだな、こんな場所を見つけるなんて」

顔を上げると、拓海がそこに立っていた。

「ずっと座ってるけど、もうお腹いっぱいか?」と彼は私に聞いた。

私はスマホをテーブルに伏せて置き、笑顔で答えた。「お昼にたくさん食べたから。明日香と一緒にいなくていいの?」

「彼女は帰ったよ」

理由は聞かなかったし、彼も話そうとしなかった。ただ静かにそれぞれ座って、まるで相手が存在しないかのようだった。

以前は彼と一緒にいるのがとても好きだったけど、数年が経ち、彼と二人きりになっても、心は平穏で何も感じなくなっていた。

かつての思いは時間とともにすでに消えてしまったのだ。

しばらくして、拓海はポケットから煙草の箱を取り出し、一本取り出して私に煙草を吸ってもいいか尋ねた。

別に気にすることはない。ここは公共の場所であって、私の家じゃないから、彼を止める権利なんて私にはない。

ただ、彼は以前は煙草を吸わなかったのに、大学に入ってからまだ三年も経っていないのに、そんなことまで覚えたのか?

拓海は一本の煙草に火をつけて、力強く一口吸ったあと、頭を仰け反らせながら次々と煙の輪を吐き出した。

突然、どこかの本で読んだ「煙の輪は孤独の産物だ」という言葉を思い出した。

拓海、彼はとても孤独なのだろうか?

もし
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