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第94話

瑛介は腰を振りながら、顔に満面の笑みを浮かべて翔太兄の前に寄ってきた。翔太兄は呆れたように笑いながら立ち上がり、彼に一蹴りを入れ、瑛介は壁に寄りかかってうめいた。

私も一緒に笑った。翔太兄が私にこんなに優しくしてくれるのは妹だからだと分かっていても、恥ずかしくなって布団を引っ張り、自分を隠してからかわれるのを避けた。

その時、私は思った。もし翔太兄がいつもこんな風に私に優しくしてくれたら、どんなに嬉しいだろうと。

でも、それは無理だと知っていた。翔太兄はもう若くはないし、すぐに本当の彼女ができて、やがて結婚して子供もできるだろう。

その時が来たら、私はもう翔太兄に一番可愛がられる女の子ではなくなる。

でも、それは未来の話だ。少なくとも今は、翔太兄はまだ私を一番可愛がってくれているから、それで十分だと思った。翔太兄が本当に愛する人を見つけたら、その時は私はお嫁さんに対してもきっと良くしてあげようと思う。

玲奈は私が気まずがっているのを気にもせず、突然布団を引っ張り上げて私をさらけ出した。「なに?自分で病気になるなんて、いい気なもんね。こんなに大勢でお見舞いに来させるなんて、大げさだわ」

ようやく気づくと、ベッドの脇の小さな棚にはお菓子や果物が山のように積まれていた。どれも彼らが持ってきたもので、全部私の好きなものばかりだった。

「私だって病気になりたくてなったんじゃないよ。私のせいじゃないでしょ?」と、私は悔しそうに布団を引っ張り返した。

友情って何だったの?こんな風に友達の失敗を暴露するもの?

「じゃあ誰のせいなの?毎日冷たい風に当たりながら3、4時間も座ってたら、健康な人だって病気になるわよ。ましてや、あんたみたいな小柄な体ならなおさらよ。それに、誰かさんもよく付き合ってくれたわね。冷たい風に一緒に当たりながら、何も言わずに」と玲奈は大きく白い目をむいた。

私が誰のことを言っているのか尋ねようとした矢先、大和が彼女を引っ張って別のベッドに連れて行き、二人で仲良くしているのを見て、言いたかった言葉が喉に引っかかったままになった。

律子は私のベッドの端にどっかりと腰を下ろし、私に斜めの視線を投げかけて聞いた。「どうなの?やっと分かった?自分がどこを間違えたか」

「うん、翔太兄が教えてくれた。私、軽々しく手紙を届けたりしちゃいけなかった。未来の
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