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第92話

私は翔太の腕の中から抜け出し、自分を布団の中に埋めようとした。

こんな自分が大嫌いだ。いつも涙をこぼしてしまうなんて、あまりにも弱すぎる。

自分が明日香みたいに涙を武器にする人間になりたくない。

翔太兄はフッと笑い、私を引き戻し、おでことおでこをくっつけ、かすれた声で魅惑的に囁いた。「それで、これからも他の女の子のラブレターを受け取るつもりか?」

私は素直に首を振った。「受け取らないよ」

「僕を他の人とくっつけたいと思うか?」

「思わない、翔太兄、ごめんなさい」私は素直に謝った。

やっとわかった。翔太兄は私が他の女の子のために彼にラブレターを渡したことに怒っていたんだ。

今になって思えば、あの時の私は本当に軽率だった。

翔太兄がどんな女の子が好きかも聞いていなかったし、勝手にラブレターを渡して、もし翔太兄の一生の幸せを台無しにしてしまったら大変だ。

「そう、美咲はやっぱりいい子だね。翔太兄も謝るよ、こんなに何日も君を一人にしてしまって、もうニ度としないよ」

「こんなに何日も会ってなかったけど、翔太兄のことを考えてた?」翔太兄の目はとても深く、まるで底の見えない渦のようで、私を引き込もうとしているようだった。

「考えてたよ。毎日会いに行ったのに、画室には誰もいなくて、電話も出てくれないし、瑛介たちも出なかった。何かあったのかと思って、どこにも見つからなくて、毎晩泣いてた。翔太兄がどうして怒ってるのかもわからなくて、毎日怖かったの」私はこの数日間の出来事を一つ一つ話した。

翔太兄の目にはたくさんの心痛が浮かび、私をさらに強く抱きしめ、彼のあごが私の頭の上で優しくすり寄せた。「今回は翔太兄が悪かった、美咲、許してくれる?これからは翔太兄がどんなに怒っても、どこに行くにしても、必ず美咲に知らせるから」

「うん、わかったよ。もし次こんな事があったら、私もう翔太兄とは縁を切って、二度と構わないからね。翔太兄、本当に戻ってきたの?嘘じゃないよね?」

私は頭を上げて翔太兄を見た。彼の瞳は深く暗く、彼の頬が私の額に触れながらゆっくりと動いた。「翔太兄は君から離れたことなんて一度もないよ。毎日君の見えないところで君を見守ってたんだ。翔太兄は君が僕を他の人に渡そうとしたことに怒っていたんだよ、少し罰を与えたかったんだ。美咲を悲しませたのは翔太兄が悪かった、ご
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