第69話

明日香の身長は160センチに満たず、小柄で華奢な体型をしていた。

一方、私の身長は170センチという異例の高さで、この日本でも平均身長が高いと言われる北方地方ではかなり背が高い方だった。

お互いに対峙しているとき、私は身長の差で完全に彼女を見下ろしていた。明日香は仕方なく顔を上げて私を見上げるしかなかった。

そう、これこそが私の狙いだ。悔しい？でも無駄だよ。

「明日香、私が見たかどうかは重要じゃない。重要なのはあなた自身が自分の行動をどう思っているかでしょ。自分に恥じることがないかどうか、心に問えばいいわ。私に文句を言う資格はない。私に近づかないで、関わらないでよ」

そう言って彼女を避けて通り過ぎた。明日香は私の背中に向かって毒々しい呪いの言葉を吐き出した。「いずれあんたも痛い目に遭うんだから」

多くの場合、私は考える。私は一体何をしたというのだろう。どうして明日香はこんなにも私を憎んでいるのか。

もし拓海とのことであれば、それはもうとっくに過ぎたことだった。今の私と拓海の関係は全くの他人、友人ですらないのに、なぜ彼女はまだこんなにも私を憎んでいるのか？

それに、彼女と悠斗の関係なんて汚いものだ。他の人なら隠すのが精一杯だろうに、どうして彼女はこうも堂々と私に詰め寄るのか？彼女が望んだ答えを得られなかったからと言って、私を脅す必要があるのか。

それにしても、浮気するなら少しは周りに気を使ったらどうなの？公然とそんなことをしていると、私が見なかったとしても、他の誰かが見てしまう可能性は十分にある。ましてや翔太兄もここにいるんだから。私が知っているのが怖くないとしても、翔太兄が知るのを恐れないのだろうか。

彼女、頭がおかしいのかな！

あの日、悠斗の目つきが頭から離れなかった。何度も考えたけれど、遺書でも書いて隠しておいた方がいいのかもしれないと思った。もし何かあったら、最大の容疑者は悠斗と明日香だって、警察に手掛かりを残すために。

その後の二日間、何をするにも慎重になった。悠斗が突然どこからか現れて私に危害を加えないかと、ずっと警戒していた。

翔太兄は私の様子を見て、「君、心をどこかに落としてきたみたいだな」と言ってきた。心ここにあらずの私に何度も何があったのか尋ねてきたが、私は何も言わなかった。

これは私自身の問題だ。万が一危険があっても、