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第77話

翔太兄は笑うのが好きで、時には春風のように爽やかで、時には温かく穏やかだった。いつも私をとても心地よく、リラックスさせてくれて、ずっと一緒にいたくなるような、離れたくないと思わせる存在だった。

それに比べて拓海は、いつも冷たい印象だった。彼が私に微笑んでくれても、その笑顔にはどこか冷たさがあって、遠く離れているような感じがして、彼の本心に触れることができない気がした。しかも、彼は私にあまり笑顔を見せてくれることもなかった。

どう言ったらいいのか、拓海はまるで壊れやすい美術品のようで、どこかに飾って眺めるのが似合う人だった。それに対して翔太兄は、枕元のクッションのように、いつでもそばにいてほしいと思わせる存在だった。

初めて会った日のことを思い出した。あの時も翔太兄はこうして私をからかっていた。あの時、私は何て言ったんだっけ?そうだ。美しいものに惑わされて、「かっこいい」なんてバカみたいに言っちゃったんだ。

彼は本当にかっこよかった。清潔で、純粋で、落ち着いていて、心地よい、そんな美しさだった。

「驚くほど綺麗で、本当にかっこいいね。翔太兄、今度時間ができたら、あなたに絵を一枚贈るね」

私は人物画が得意で、翔太兄のような美しい人を絵に残さないなんて、もったいないことだと思った。

「いいね、楽しみにしてるよ」

道中、私たちは笑ったり話したりして、気軽で楽しい雰囲気だった。私は彼にどこへ行くのか教えてくれとせがみ、観光のプランを立てたいと言った。そして、この四日間を思いっきり楽しみたいと。

でも、翔太兄は謎めいていて、私がどんなに甘えても教えてくれなくて、「着けばわかるさ、絶対に気に入るよ」としか言わなかった。

性能の良い四駆の車は、一つの山を越え、坂を登り、林を抜け、いくつかの橋を渡り、私のお尻が痛くなる前に、ようやく目的地に到着した。

本当に、私はそこが大好きになった。

翠嶺エコツーリズムエリアは、白峰山脈の丘陵地帯に位置していて、そこには広大な原生林と豊かな植生があり、青々とした山々と緑の水、青い空と白い雲、そして澄んだ流れが織りなす風景は、まさに絶景だった。

未舗装の道で車から降りて、徒歩で約三十分ほど歩くと、そこには森林公園の入口があった。実際には車で入ることもできたのだが、翔太兄は「旅はやっぱり歩かなきゃね。車だといろんな細かいところ
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