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第67話

玲奈は正真正銘の北方出身なのに、小柄で、まるで優しい小さな女性のように見えた。性格は率直で快活、そして公正な感覚を持っており、こうした不正な風潮には特に我慢できないタイプだった。

お金を支払い、玲奈と私はそれぞれたこ焼きを持って文具屋に入った。

私の心の中はとても混乱していたので、たくさんの物を手に取ってレジに向かったが、絵の具だけを忘れてしまった。結局、玲奈に注意されて、急いで戻って選び直した。

買い物が終わると、もうぶらぶらする気分にはなれず、絵の具を抱えて逃げるように寮に戻った。明日香に私が彼女の秘密を知っていることがバレるのが怖かったのだ。

私は慌てて翔太兄にLINEを送り、「翔太兄、今さっき彼らがホテルに入るのを見ちゃったけど、私たち、現場を押さえに行くべきかな?」と聞いた。

すると、翔太兄はほぼ即座に「国画専攻は向いてないな、警察学校に転校したらどうだ?」と返信してきた。

現場を押さえに行く必要がないと言ったらいいのに、私に転職しろなんて、翔太兄、ほんとに失礼なこと言うよね。

私は呆れてスマホを投げ出し、そのまま寝た。

眠りにつく直前、ふと気づいたことがあった。明日香は二人の男を手玉に取って、私が知っているかどうかをまったく気にしていないようだった。私が隠れる必要なんてないじゃないか。浮気しているのは私じゃないんだから。

私は悪くないし、何も怖がることはない!

それにしても、明日香がこんなに堂々と他の男と会っているのに、私が拓海にそのことを伝えるとは思わないのだろうか?しかも、拓海のお兄ちゃんが桜華大学にいることも知っているはずで、それが翔太兄の耳に入るのを恐れないのだろうか?

それとも、彼女はもうどうでもいいと思って、何も気にしていないのかもしれない。

本当に度胸があるのは恐ろしいものだ。

悠斗は背が高くて、見た目も悪くなく、どこか野性的な魅力があった。女の子にモテるタイプだった。けど、拓海のほうが見た目では絶対に勝っていた。明日香は一体どういう考えでこんなことをしているのだろうか。

私には到底理解できなかった。

次の日、私は玲奈と一緒に学校の食堂でご飯を食べようとしたところ、食堂に入った瞬間、明日香と悠斗が一緒に座って仲良く食事をしていたのを見かけた。

翔太兄が戻ってきてから、私は彼に世話をされているので、食堂で食事を
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