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第66話

私は拓海に二言ほど返信した後、面倒くさくなって携帯を切り、寝ることにした。

翌日、母から電話がかかってきて、明日香の件を思い出して、話してみた。母はしばらく黙っていたが、その後、自分のことだけ考えて、他人のことには関与しないようにと言った。

母は、拓海が私の言うことを信じるはずがないし、逆に私が何か悪意を持っていると思われるだけだから、彼にもっと偏見を持たれるかもしれないと言った。多くの場合、善意がかえって事態を悪化させることもあると。

母は、私たちが正しい行いをしていれば、他人の疑いも恐れる必要はないと言ったが、それでもわざわざ問題を起こす必要はないとも言った。

翔太兄も母と同じ考えで、数日間気にかけていた私の心もようやく落ち着くことができた。

拓海については、私は既に彼に警告をしたので、あとは彼自身の問題だった。

こうして私は心の重荷を下ろし、全力でコンペの制作に取り組むことにした。

翔太兄は私のアイデアを検討し、私の考えに基づいて進めることに決めた。私たちは約一週間かけて磨きをかけ、最終的な制作方針を確定し、明日から作業に取りかかる準備をした。

私は絵を学んでかなりの時間が経っており、大きなコンテストにも数えきれないほど参加してきたが、これほどハイレベルなコンテストや、チームで参加する形式は初めてだった。興奮して拳を握りしめ、必ず良い成績を収めようと意気込んで、箱の中からすべての絵の具、生宣、熟宣、筆を探し出したが、まだいくつか足りないものがあったため、すぐに買いに行かなければならなかった。

学校には文具店があり、毎日朝9時から夕方5時まで営業しているが、この時間はもう閉まっていた。

学校の裏手にある通りにはテーマ文具のスーパーがあり、そこには何でも揃っている。夕食後、特にすることもなかったので、ルームメイトの兼家玲奈を連れて、絵の具を買うという口実で街へ繰り出した。

もちろん、絵の具を買うのがメインの目的だった。

少し歩くと、たこ焼きの屋台に行列ができていて、その香りに思わずよだれが出そうになった。兼家玲奈に話すと、彼女も食べたくなり、私たちは屋台の前で並ぶことにした。

「今の男の子たちってみんなこんなに浮気性なの?昼間はある女の子と熱烈な恋愛をしていて、夜には別の女の子とホテルでお泊りだなんて、信じられないね」兼家玲奈はわざと大人
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