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第35話

私は本当に彼に呆れてしまった。これが十九年間知っていた鈴木拓海なの?正義も不正義もわからないなんて、価値観が地に落ちていて、なんて気持ち悪いの!

私はいつ高橋明日香を刺激したの?私がいつ彼女に顔色を伺わせたって?他に何の無実の罪を着せるつもり?

偽善的な女と気持ち悪い男、お似合いのカップルだね!彼らの愛が永遠に続くことを願うわ!

「鈴木拓海、もう何も言えないわ。自分の頭でよく考えなさい。もういいわ。あなたたちと話すのも面倒だし、疲れたから帰って。見舞いに来てくれてありがとう。でも、私はその好意に値しないわ。さようなら」

鈴木拓海は高橋明日香の手を引き、怒りに任せて出て行った。広いリビングに残された私は、一人でぼんやりと立ち尽くした。

出て行く前に、高橋明日香が振り返って私を見た。彼女の目には得意げな表情が浮かんでいて、それを見て私は思わず笑ってしまった。

偏愛されているから、彼女はやりたい放題できたのね。

でも私は彼女と争うつもりもないし、鈴木拓海に固執するつもりもなかった。彼女が何をそんなに得意げにしているのか、全く理解できなかったわ。

彼らが去った後、私は再びベッドに戻り、布団を頭からかぶって静かに泣いた。

鈴木拓海は変わった。今では彼の正義と不正義の判断基準は、すべて高橋明日香の都合に合わせられていた。

もう私が好きだったあの陽気な少年ではなかった!

私は再び心に誓った。絶対に彼を断ち切ると、絶対に!

二日後、菜奈と幸子が訪ねてきたので、母はしぶしぶ私を外に出してくれた。

私が家を出ると、母もすぐに追いかけてきて、「これもダメ、あれもダメ」と色々と注意事項を言い渡してきた。私は二人の手を引いて振り返ることなく階段を駆け下り、青い空と白い雲に向かって走った。背後には母のあきれた笑い声が聞こえた。

帰る頃にはもう夕方で、夕焼けが絵のように美しく広がっていた。

私たちの家は一戸建てで、隣り合った家はどちらも一階建てで、庭がそれぞれついている。庭の広さはあまりないが、母と叔母が相談して育てた花々が元気に育ち、茂った葉が庭を内外に分けていた。

私は彼らが中にいることを知らず、彼らも私が外にいることを知らなかった。誰もお互いを見ていなかった。

私は鈴木拓海の家の庭の柵の外に座り、夕日の輝きを楽しんでいた。スマホの壁紙にするために写真を撮ろ
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