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第13話

まして......

鈴音はバッグをぎゅっと握りしめ、今夜、裕之に「大サプライズ」を仕掛けるつもりだったが、もし司が来てしまったら、ある事柄が説明しづらくなるだろうと心配になった。

「おじさんはあれだけ忙しいのに、来るはずがないでしょう?」プライドの高い姑の蘭は、自分の息子が司に取り入れないことを認めたくないようで、他人にも司に近づくのを許さない姿勢を見せた。「前に商が結婚したときも司に招待状を送ったのに、結局司は来ず、ただアシスタントがご祝儀を持ってきただけだったのよ。今回も同じでしょ?」

卿子は口元が引きつりながらも、笑顔を保とうとした。「姑さん、まずは中に入ってお座りください。ゲストが多くて、私はしっかり対応しないといけませんので......」

蘭は勝ち誇ったように笑い、得意げに宴会場へと足を踏み入れた。

鈴音は一言も発しなかったが、姑の蘭の容赦ない態度に驚いていた。卿子の顔が真っ青になるほど蘭の一言が効いたようで、さすがだと心の中で感心した。

宴会場に入ると、裕之の姿が見当たらない理由がすぐに分かった。愛人の宮崎寧々が月白色のドレスに身を包み、裕之の隣で親密そうに立っていたのだ。

さらに、裕之は寧々を連れて姑に挨拶までしに来た。

鈴音はその三人が自分の目の前でまるで芝居をしているかのように振る舞うのを見つめていた。先ほど一緒に食事をしていたくせに、まるで今初めて知り合ったかのように装っているその様子が滑稽で仕方なかった。

本来ならば寧々は他のテーブルに座るべきだったが、蘭は「裕之をいつもお世話してくださってありがとうございます」と感謝の言葉を述べ、無理やり彼女を自分の隣に座らせた。その結果、鈴音がまるで部外者のような立場に追いやられてしまった。

十二人が座る大きなテーブルには、一つだけ席が空いていた。それは鈴音の隣の席で、彼女は少し緊張していた。

しかし、周りを見ると、鈴音は少し安心した。

五、六卓すべてが埋まり、食事の開始を待っている状態だったので、司が来る可能性は低いだろうと思えたからだ。

朝倉家の親戚たちは皆したたかな人物ばかりで、蘭の隣に座っている寧々を口には出さずとも内心楽しんでいる様子だった。鈴音に向けられる視線はまるで、「お前は嫁としての役割を果たしていない」と言わんばかりの冷笑で満ちていた。

裕之は最初、鈴音に対して
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