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第27話

「すずちゃん、どうして黙ってるの?」陽生は微笑みながら言った。彼の目には一瞬、何かが閃き、再び鈴音の腕を掴もうと手を伸ばした。

だが、予想外のことが起こった。

力強い腕が鈴音の肩に乗せられた。隣に立っているのは、高身長で端正な顔立ちの男。彼は鈴音を守るように立ちはだかり、冷静かつ淡々とした口調で言った。「彼女は俺の友人だが、何か用ですか?」

司は視線を逸らし、鈴音の方をちらりと見た。彼は彼女の体が小刻みに震えているのを感じ取り、明らかに目の前の男を怖がっているのがわかった。

この男が怖いのか?

「おや、これはこれは朝倉さんじゃないですか」陽生は司を一目で認識し、優雅に眼鏡を指で押し上げた。「初めまして。長谷川陽生と申します」

「初めまして」司も相手が自分を知っていることから、礼儀として彼と軽く握手を交わした。

陽生は鈴音に目を向け、「すずちゃんとは二、三年ほど会っていませんでした。まさかここで会えるとは思わず、挨拶しようと思っただけですが、どうやら驚かせてしまったようです」と謝意を示しつつ、司と鈴音の関係についても軽く尋ねた。

司は二人が以前親しい間柄だったことを察し、何か言おうとしたが、その瞬間、鈴音がシャツの胸元を掴み、乞うような目で彼を見つめながら、震える声で言った。

「連れて行って......お願い......」

「申し訳ありません。彼女は体調が優れないようですので」司は仕事で鈴音の協力が必要なことを考慮し、また彼女の恐怖に満ちた様子も見かねて、そのまま彼女を連れてその場を離れた。

鈴音はほとんど司に引きずられるようにして歩いており、その体はまるで力が抜けたようにふらついていた。司は彼女を抱きかかえると、大股で回転扉を抜けて外へ出た。

その後ろで、陽生は依然として微笑みを浮かべたまま立っていた。

ようやく見つけた。二年もかかった

鈴音が彼を見たときの恐怖と絶望の表情が彼の脳裏に鮮明に残る。彼はその脆弱で逃げ出したいと願う鈴音を見るのが大好きだった。逃げたくても逃げられない、その様子がたまらなく楽しいのだ。

「長谷川さん」近くで待っていた女連れが、陽生の腕に絡みつきながら近づいてきた。彼が出口を見つめ続けているのを不満げに見て、赤い唇を尖らせて拗ねたように言った。

女は嫉妬に満ちた声で続けた。「ただ顔のいい女じゃないですか。何も
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