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第23話

鈴音がぼんやりしているのを見て、リンは小さく声をかけた。「お姉ちゃん、大丈夫?」

「リン、私、前世であんたに何かしたのか?」鈴音はリンをじっと見つめた。

「だから今世ではリンにこんなに振り回されるのよ。私が死んだら、あんたは満足する?」

リンは口をつぐみ、何も言えなかった。

その時、詩亜瑠はすでに衣装を着替え終わり、司の腕に絡みついて歩いてきた。彼女は得意げに笑い、まるでこの男が自分の所有物だと言わんばかりの態度だった。

「はあ、本当に詩亜瑠の運が羨ましいよ」リンは悔しそうに呟き、司がこちらを見て近づいてくると、リンの心臓は一気に高鳴った。

彼が先日の件を追及しに来たのではないかと怯え、リンは鈴音の後ろに隠れた。

「......」

鈴音もまた、司が何かを追及しに来るのだと思い身構えたが、意外にも司は鈴音の包帯で巻かれた腕をちらりと見ただけで、「大丈夫か?」とだけ聞いた。

「大したことはありません」

「司兄さん、もう行こうよ!」詩亜瑠は司の腕を揺らして甘えた。「お腹すいて死にそうなんだけど」

司の目が冷たく光り、彼は詩亜瑠の手を引っ張り、鈴音の前に立たせた。

詩亜瑠は困惑していた。

司は冷たく言った。「謝れ」

「嫌よ!」詩亜瑠は片言も引かず、撮影現場の人々の視線を感じながら反発した。「悪いのはあの子の妹でしょ、私が鞭を振ったのは仕方なかったの、私には非がない!」

「詩亜瑠、俺が甘やかしすぎたせいで、君は周りが見えなくなってるんだ」司は彼女の腕を強く握り締め、詩亜瑠は痛みに顔をしかめながら、必死に痛いと叫んだ。

しかし、司は微動だにせず、冷静に言い放った。「君の後ろ盾は朝倉グループだ。もし今回の件が公に広まれば、俺たちも巻き込まれることになる。俺はそんな事態になってほしくない」

詩亜瑠は唇を噛み、司の無情な態度に怯えた。司が本気で怒っているのがわかり、彼女はこれ以上逆らえば見捨てられることを悟った。

しぶしぶと口を開いた。「ごめんなさい」

司は彼女に一言促した。「詩亜瑠!」

詩亜瑠は仕方なく鈴音に近づき、手を握りしめた。「お姉さん、ごめんなさい。さっき鞭で叩いたことは悪かった、許してください」

鈴音はこの思わぬ展開に驚き、しばらく何も言えなかった。

「撮影で頑張ってるのはわかる、でも私の妹も一生懸命やっているの。みんなそれぞれ
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