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第26話

「ベイビー、待ってるよ。お祝いしよう、大都会8082で」

8082は彼らがよく密会に使う部屋で、裕之も今朝、ホテルに行くかもしれないと言っていた。だから寧々はこのメッセージを見ても全く疑わず、部長の好意を断ってタクシーを拾い、「大都会」ホテルへ向かった。

一方、タクシーに乗り込んだ途端、蓮生は本性を現し、鈴音の体をまさぐり始めた。

鈴音は恥ずかしがるふりをしながら彼の耳元に囁いた。「大都会に行きましょう。もう部屋を取ってあるの」

「随分と大胆だね」蓮生は鈴音のお尻をつねり、わかったような笑みを浮かべた。

鈴音は心の中で湧き上がる嫌悪感を必死に押し殺した。

笑っていればいいさ。明日の朝になったら笑えなくなるのはあなたの方だから。

鈴音は以前に一度大都会ホテルに来たことがあったが、今回も同じ場所に来ると、強い嫌悪感を覚えた。それでも蓮生の腕に支えられながらエレベーターに乗り、カードキーで部屋に入った。

蓮生が鈴音をベッドに押し倒そうとした瞬間、鈴音は機敏に身をかわし、ワインを開ける際にこっそりと薬を一錠入れた。

蓮生がワインを飲み干すと、鈴音は彼を浴室へ押し込んだ。

鈴音は部屋を見回し、録音機を隠す場所を探していたが、ベッドを正面にした隠しカメラがすでに設置されているのを発見した。彼女は思わず感心した。

司はやっぱり手際がいい。

しばらくすると、ドアの外から大きなノック音が響き、酔っ払った様子の寧々の声が聞こえてきた。

鈴音は部屋の明かりをすべて消した。

それから、そっとドアを少しだけ開け、隅に身を潜めた。

寧々は待ちきれない様子で部屋に飛び込み、真っ暗な部屋でしばらく電気のスイッチを探していたが、結局見つけることはできず、代わりに浴室から出てきた蓮生にぶつかった。

すでに体が火照っていた蓮生は、寧々に触れた瞬間、頭の中が真っ白になり、そのまま彼女をベッドに押し倒した。

ベッドがきしむ音と、恥ずかしい音が部屋に響き渡った。

鈴音は耳を真っ赤にしながらその音を聞いていたが、これ以上は耐えられないと感じ、ドアを開けて、気づかれないようにそっと部屋を後にした。

鈴音の口元には満足げな笑みが浮かんでいた。

さっきまで、寧々をどうやってホテルに誘い込むか悩んでいたが、司がくれたカードキーがすべての問題を解決してくれたのだ。

さすが司さん、
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