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第18話

鈴音は目を開けて動画に目を向けると、そこには黒いドレスを着たリンが映っており、セクシーかつ清純な雰囲気を漂わせていた。彼女は司に水晶のカフスボタンを差し出しながら、「お姉ちゃんに頼まれて来た」と話していた。

「知らなかったでしょ?お姉ちゃん、もう結婚しているのよ、つまり既婚者ってわけ。だから私にここに来るようにって言ったのよ。私とお姉ちゃんは似てるし、私は若いから司さんはきっと気に入るって」

リンは部屋に入るなり服を脱ぎ始め、その意図は明白だった。

だが、司の秘書がその様子を撮影していることに気づき、彼が警察に連れて行くと言った瞬間、リンの顔は真っ青になった。

リンも頭の回転は早く、母親が重病で入院し、姉もお金を出せないため、このような手段を取るしかなかったと、涙ながらに言い訳をした。

司は冷静に、「いくら必要だ?」と尋ねた。

リンは大胆に一千万円を要求した。司は頷き、秘書に書類を準備させ、リンはすぐにサインした。その後、司は彼女に小切手を手渡した。

動画が終わった後、鈴音は呆然としたままで、以前のことを思い出した。あの時、トイレで司に追い詰められた際に、カフスボタンを返そうとしていたことを。

まさか、そのカフスボタンがリンに盗まれていたとは!

「なんでこんな馬鹿な妹がいるのよ!」鈴音は怒り狂い、2メートルの大剣でも持ってリンを切り刻んでやりたい気分だった。

鈴音は司にスマホを返し、声を荒げて言った。「おじさん、どんな書類にサインしたか知らないけど、この一千万円は彼女が自分で責任を持つべきです。手を切ろうが足を切ろうが、お任せします。私は彼女とは縁を切りました!」

「私は高利貸しではないから、違法なことはしないよ」司は薄く笑って、「しかも、その書類は彼女が君の身分証と名前でサインしている」

司は画像を拡大して鈴音に見せ、まるで感心したように言った。「君の妹は君とそっくりで、筆跡まで完璧に模倣している。なかなかのものだ」

鈴音は自分とまったく同じサインを見つめ、歯ぎしりした。

リンの馬鹿野郎!

「一体何の書類にサインしたのか......」鈴音は書類の内容に関係なく、この事態には関わりたくないと思った。

その時、外から裕之の声が近づいてきた。

今、トイレには鈴音と司しかいない。もし司が鉢合わせになれば、彼女に不利な証言をされ、離婚時に多
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