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第15話

続いて、みんなが鈴音をじっと見つめ始めた。

鈴音は寧々の意図を見抜いて、唇を引き締めてから静かに言った。「妊娠しても人によるのよね。元気な人もいれば、毎日寝ていないといけない人もいる。マネージャーさんは妊娠の経験がないから、そういうことはわからないでしょうけど」

寧々の顔色が変わった。

鈴音はさらに続けた。「マネージャーさん、私は病院でちゃんと検査を受けて、この妊娠検査報告も医師からいただいたものです。なのに、あなたの言い方だと、私が何か裏で工作しているように聞こえますけど?」

「そんなことありません。ただちょっと気になっただけです」寧々は柔らかい声で微笑みながら言った。「ただ、裕之さんからあなたが体調に問題があって、妊娠しづらいと聞いていたので......」

「ご心配いただきありがとうございます。でも、自分の体は自分が一番よくわかっていますから」鈴音は微笑みを返し、無造作にスマホをいじりながら裕之にちらりと目をやった。

裕之は無意識に緊張し始めた。

鈴音の態度はまるで自信満々で、彼女の手元に本当に証拠動画があるのではないかという恐怖が彼を襲った。

一方、寧々はホテルの部屋を自分が予約していたこともあり、鈴音が動画を持っているとは信じていなかった。心の中で冷笑しつつ、鈴音が性障害であることを暴露しようとしたその瞬間、場内の注目を集める一言が耳に入った。

「朝倉様、こちらへどうぞ」

その一言が、寧々の口を止め、宴会場にいた全員の視線をそちらに引きつけた。

鈴音もその声に反応し、目を上げてみんなが注目している方向を見やると、二つの人影が長い脚を伸ばしながら堂々とこちらに向かってくるのが見えた。

それは司と彼のアシスタントだった。

司は今日も黒のビジネススーツを身にまとい、質の良いワインレッドのシャツをインナーに合わせ、ノータイスタイルで登場。袖口のボタンは二つ外され、カジュアルな雰囲気を漂わせつつも、圧倒的な存在感を放っていた。

鈴音はその人影に目を奪われ、しばし言葉を失った。

司おじさんが来た?

宴の開始時、鈴音の隣の席が空いているのを見て、司が来ることはないと確信していた。彼がこういう賑やかで混雑した場を嫌うことも知っていたのだ。しかし、彼は予想外に現れた。

これまでの彼のスタイルとはあまりにかけ離れている......。

司は鈴音
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