第23話

「峻介、私たちはもう離婚しました。これからは…二度と会わない方がいいし、もう何の関係も持たない方がいいと思います。そうすれば松本さんも安心できるでしょう」優子は、まだ峻介の人柄に少し希望を抱いており、低い声で言った。「その方が私にとっても、あなたにとっても、松本さんにとってもいいことです」

峻介は何も言わずに電話を切った。

優子は電話を置き、心がぽっかりと空いたかのように感じた。

ただ静子の件がこれで終わればいいと願った。

少し気が緩んだ後、悠斗に電話をかけて静子を警察から引き取れるか尋ねた。

「優ちゃん、どうやら状況が少し悪いようだ」悠斗は重い声で言った。「静子を押した人が警察に何を話したのかは分からないけど今対策を考えている。君は焦らないで」

優子は水の入ったコップを握りしめた。「わかった。ありがとう」

電話を切ったばかりの時、彼女の携帯電話が再び振動した。

優子は急いで電話に出た。「もしもし…」

「優子か？」

この声には聞き覚えがあった。

「そうです」と彼女は答えた。

「今日の夜7時、君御ホテルに来い。来なければ、あの北田って女が刑務所に入ることになるぞ！」

それは里美の従弟、瑛介だった。

さっき悠斗が状況が悪いと言っていたことを思い出し、優子は電話をしっかりと握りしめた。「この国では証拠が重視される。空港のビデオが静子の潔白を証明している。誰も不当な尋問をして、静子を無実の罪に陥れることはできない」

「ふん…そうか？試してみればいい」瑛介は冷笑した。「それに、あの静子は去年14歳の無口な女の子を養子にしたらしいな。君が来ないなら…その子を探しに行くしかない」

優子の心は急に緊張で張り詰めた。

「君は法を知っているだろう…それに法律の知識を人に教えるのが好きなようだな！」瑛介は放蕩不羈に言った。「僕自身は証拠を残さないよ。その子はもう中学二年生だろう？いじめに遭ったらどうする？最近、いじめで自殺する子が多いと聞いているぞ。君はどう思う？」

優子は怒りのあまり逆に冷静になったが、携帯を握る手は震えていた。「峻介があなたに電話させたの？」

「じゃなければ、どうして僕が君の電話番号を知っているんだ？7時に君御ホテルの3階の個室で会う。君にはあと2時間しかない。霧ヶ峰市は渋滞のピークだが間に合うといいな」

相手はそう言って電話を