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第21話

「松本さん」優子は里美を呼びかけ、保証するように言った。「私はあなたの恋人ではないので、どうやって安心させればいいのか分かりません。でも、一度決めたことは、たとえ死んでも後戻りしません。それは安心してください」

「ごめんなさい。高橋先輩。私はただ…ただ誰に相談すればいいのか分からなくて、あなたに話してしまいました」里美は唇をかみしめ、「高橋先輩、養母さんの件については、峻介に話して訴えを取り下げてもらうようにします。心配しないでください」と言った。

「それなら…今日の午後、君御ホテルに行く必要はありますか?」優子が尋ねた。

里美は困惑して答えた。「何のことですか?」

「峻介が言ったんです。今日の午後7時に君御ホテルで直接説明しろと。さもないと静子を牢屋にぶち込むと」

優子は、里美に対して意図的に言葉を選んでいた。今や、彼女は誰も信頼できなくなっていた。

彼女は里美が、峻介との再会を阻止してくれることを望んでいた。結局のところ、自分の愛する人が元恋人に会いに行くことを望む人はいなかった。

そして峻介は、里美の要求を断ることはできなかった。

「分かりました。峻介お兄さんに電話で話しますね」里美はそう言い、さらに続けた。「峻介お兄さんは、口がきつくても心は優しい人なんです。高橋先輩、きっとそれはご存じでしょうから、あまり気にしないでください」

「ありがとうございます」優子は心から感謝した。「あなたの入院治療費は私が全額払います。必要ないとは分かっていますが、これは私の気持ちです。どうか受け取ってください」

里美は優子の性格を知っていたため、それ以上拒まずに言った。「分かりました。退院したら、アシスタントから請求書を渡しますね」

電話を切った後、優子の肩の重荷が少し軽くなったように感じた。

彼女は起き上がり、簡単に身支度を整えた。その朝、彼女を起こした見知らぬ番号から電話が再びかかってきた。電話に出ると、それは「家族探しの記録」の制作チームからだった。

番組のスタッフが優子に連絡を取った理由は、静子に連絡を取った時と同じだった。彼らは直步と同じ両親を持つ優子から彼女の生母に関する情報を提供してもらいたかった。また、彼らは優子を番組のゲストとして招待したかった。

優子は指でスマホをいじりながら、すぐに返事をしなかった。

「家族探しの記録」という番
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