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第0014話

もう子どもを持てない......これは、どんな女性にとっても耐え難いことだろう。

彼らの間で清算すべきことは確かにあった。

だが、なぜだろうか?それなのに、涼介の心はまったく晴れず、むしろ重苦しい気持ちでいっぱいだった。

涼介は病室の外でしばらく立ち止まった後、ようやく病院を出て車に乗り込んだが、彼の思考はまだ揺らいでいた。

運転手の斉藤がバックミラー越しに彼を見ながら、「佐藤さんの入院費と医療費、1ヶ月分はすでにお支払いしました。看護師には、延長が必要な場合はいつでもご連絡いただけるように伝えてあります」と報告した。

「うん」涼介は冷たく応じ、窓の外に目を向けた。ちょうど温香が大きなサングラスをかけ、怒りながら病院を出てくるのが見えた。

「藤崎さんです。車に乗せますか?」と運転手が尋ねた。

「いや、必要ない」涼介は、病室で温香が見せたあの横柄な態度を思い出し、胸に不快感が広がった。

確かに彼が選んだ相手であり、幼い頃に命を救ってくれた恩人でもあるが、彼女に対して本当の興味を抱くことはなかった。

温香の持つ世俗的な雰囲気は、紗月が持つ清高で孤高な気質に圧倒されてしまう。

「会社に戻れ」涼介は冷たく言った。

「かしこまりました」

......

温香が去った後、病室はようやく静けさを取り戻した。

先ほどの対峙を思い返し、紗月は深く考え込んだ。

唯一の可能性は、温香が嘘をついているか、涼介が命の恩人を間違えていることだ。

まさに「因果応報」とはこのことだ。もし涼介が真実を知ったら、彼の表情がどれほど驚くべきものになるか。

その考えに、紗月は一瞬、復讐の快感を覚えた。

その後の3日間、彼女は病室にこもり、一人で外を眺めながら物思いにふけっていた。

看護師が押していくベビーカーを見るたびに、紗月は無意識に自分の腹に手を当て、かつて存在した命を感じていた。

この数日、温香は姿を見せず、涼介もまるで消えたかのように現れなかった。紗月はその静けさに少し安堵していた。

看護師が病室のドアをノックしたのはその時だった。「佐藤さん、外に高橋という方がいらっしゃいます。お会いしますか?」

高橋陸以外に、紗月には高橋姓の知り合いはいなかった。

しかし、数日前にカフェで受けた彼の母親からの侮辱がまだ鮮明に蘇る。

窓辺に座ったまま、紗月は静かに「会
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