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第0028話

温香は激昂し、ウェディングドレスのことも構わず、すぐさまステージから降りて紗月に向かって殴りかかろうとした。怒りに満ちた表情が浮かんでいる。

「紗月!嘘をつくな!このペンダントは私と涼介の......」

言いかけたその瞬間、陸が彼女の手を片手でしっかりと抑え込んだ。

彼は眉を上げ、まだ動揺している涼介に向かって冷静に言った。「中川さん、自分が守るべき人さえ間違えているなんて、本当に哀れだね」

そう言うと、彼は温香を軽く突き放し、紗月の肩を抱きながらその場を後にした。

涼介の視線はステージの上で止まり、まるで紗月に釘付けになったかのようだった。

彼女の一言一言がまるで鐘の音のように彼の胸を打ち鳴らしていた。

あの時の命の恩人は、間違っていたのか?温香ではなく......

その疑問が彼の喉元までこみ上げてきたが、言葉にならなかった。

「涼介!」

温香は完全にパニックに陥った。

涼介の手を強引に引っ張った。「涼介、彼女の言うことなんて信じないで!あの時助けたのは私よ!このペンダントはその時に私がうっかり落としたものなの、覚えてるでしょ?」

涼介は彼女の美しい顔を見つめたが、違和感を感じていた。彼は強い力で温香の手を振り払うと、迷わずステージを降りて紗月を追いかけた。

すべての招待客の視線が集まる中、新郎である涼介は、急いでステージから駆け下りた。

温香は呆然とステージに立ち尽くし、「終わった……」と呟いた。

「待って!」

涼介は数歩で紗月に追いつき、彼女の手首を掴んで振り向かせた。「答えろ、あの時助けたのはお前だったのか?」

紗月は彼の反応を見て、冷笑した。「それがどうだっていうの?もう関係ないでしょう」

彼女の瞳から答えを読み取った涼介は言葉を失い、何も言えなかった。

「涼介!」

温香は泣きながらブライズメイドに支えられて追いかけてきた。その後ろには国輝や恵子、そして興味深そうに見守る招待客たちが続いていた。

紗月はその様子を見て、軽く舌打ちをしながら笑った。「なんて忘れられない結婚式でしょうね」

そう言うと、彼女は軽く手を振り、その場を後にした。

彼女がかき乱したせいで、この結婚式はもう進行することができなくなっていた。

「一体どういうことなんだ?このペンダントは新郎新婦の愛の証じゃなかったのか?どうして前妻のものになっ
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