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第0017話

翌朝、涼介はオフィスに入ると、冷たい目つきで神田を見据えた。

「紗月は?戻ったのか?」

神田は緊張して手元の書類を握りしめ、喉が乾いてゴクリと唾を飲み込み、声を絞り出した。「まだ戻っていません......でも、彼女がどこにいるかはわかりました」

涼介は席に座ると、「話せ」と命じた。

「佐藤さんは......彼女は白川山荘に住み込んでいます。聞いたところ、今夜から正式に接客を始めるそうです......」

手に持った書類が涼介の大きな手でぐしゃっと握りつぶされた。彼の目は鋭く光り、冷たい矢を放っているかのようだった。

「接客だと?」

神田の背中には冷や汗が伝い、うなずきながら答えた。

「はい......ですが、聞いたところでは体を売るわけではないようです」

「ふん」

涼介は冷笑し、目には氷のような冷徹さが宿っていた。

この女は、本気で彼に逆らうつもりなのか?

白川山荘は、商界の大物たちが集まる場所だ。誰もがかつて紗月が彼の女だったことを知っている。

今や金さえあれば手に入る女になり下がってしまった。それは涼介の顔に泥を塗るようなものだ。

「彼女が抱えている借金はどのくらいだ?全額肩代わりしろ」

神田は一瞬驚いた。

だが、涼介の鋭い視線に触れると、一言も反論することができなかった。

すぐに返事をして、静かにオフィスを後にした。

一方、オフィスの別の角では、先ほどの会話をすべて聞いていた温香が、嫉妬に狂った目で怨念を燃やしていた。

その美しい顔が、嫉妬によってゆがんで見えた。

「紗月、あんたは本当にしぶといわね......」

夜になり、白川山荘は煌々とした灯りの中、賑わいを見せていた。

紗月の部屋のドアがノックされた。

「クリンディ、ママさんが準備するように言ってるけど、こっちは大丈夫?」

スパンコールが煌くキャミソールドレスを着たルナが、皮肉めいた表情で落ちぶれたお嬢様を見下すようにじろじろ見た。

ここでの紗月の名前は「クリンディ」

シンデレラと同じ名前だが、彼女の運命はまったく逆だ。

王座から転げ落ちた彼女に対し、童話のシンデレラはガラスの靴のおかげで王妃となった。

どれほど皮肉なことか、童話と現実の違いは。

口紅を唇から離し、紗月は決して曲げない背筋をまっすぐに伸ばし、輝くような姿を見せた。その優雅な肩と首筋の
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