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第28話

真弓は和彦を連れて出て行った。

モールの入り口に着くと、突然に人影が目前に現れ、彼らの道を塞がった。

「何だ、お金を払って後悔したのか?」真弓の心が引き締まって、荒い息をしていた文哉を見て言った。

「そんなにケチじゃないよ」荒い息をしながら文哉が言った。「そんなお金、払っても平気だよ。千葉家はそんなお金を気にしないから」

真弓は少し皮肉っぽく微笑んだ。

そうか。

千葉家は確かにこんなお金を気にしなかった。でも、こうなったのは、真弓が必死で努力して稼いだからだった。

「最近、どうして電話に出ないし、メールも返事してくれないのか?」文哉は真弓の皮肉な言葉を無視して直接聞いた。

「自分の身分を忘れたのか......」

「たとえ別れても、友達だろう」

「君がそう思っただけだ」真弓が彼を冷たく見つめて言った。「私の世界では、既に君を削除した。私は悪徳の人と友達になれない。君は私の友達に相応しくない」

「なんでそんな酷いことを言うの......」

「一体何を言いたいのか?」真弓が苛立って彼の話を中断した。

文哉は深呼吸をして、真弓と喧嘩するつもりはなかった。「僕は先ほど店員さんに聞いた。この坊やのタキシードは10億円もするのよ」

彼が言ったのは和彦の服だった。

和彦が眉を顰めて文哉を見上げた。

「それで?」真弓も眉を引き上げた。

「星野グループを引継いでも、会社に資産があっても、君のようなお金の使い方では、いつか必ず倒産してしまう。何回か忠告したが、あの消防士は金目当てだぞ。君にお金が無くなったら、彼はきっと離れるよ」文哉が興奮して言った。

「言っただろうが、私がいいと思えば、お金など気にしない」真弓が無視して冷たく言った。文哉、偽善者の思いやりを取り戻してよ。私には必要がない」

この言葉を言い残して、真弓は和彦を連れて向きを変えて離れようとした。

「真弓!」文哉が彼女の腕を強くつかんだ。

真弓は眉をひそめた。

文哉がすごく怒った。

この間、真弓は彼の前で随分傲慢だった。彼は我慢の限界まで来た。

「放して!」真弓が冷たく言った。

文哉は却って力を込めた。「一回愛し合ったし、君の為を考えたが、感謝の気持ちもなくて......ああ!」

真弓は吃驚した。和彦が文哉の腕を嚙みついた。

文哉が痛くて振り払ったが、腕にははっきりし
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