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第35話

「もしかして、胡麻化して入ったのか?」紀子が思いついた。

瑠璃子が興奮して、非常に可能性があると思った。

二人は反応する前に、文哉が直接真弓に向かった。

真弓は宴会場の中を歩いた。

無数の視線が自分に向けたのを気づいたが、驚きもしなかった。

ふと文哉を見かけた。

「どうして来たの?」文哉が声を低くして聞いた。

「ここは樋口の宴会現場だ。千葉グループの宴会じゃない。私に詰問する資格はないと思う」真弓が揶揄って言った。

「鈴木家に連れられてきてないし、星野グループも招待状をもらえないし、どうやって入ったの?」

「だから何を疑ったの」

「真弓、宴会に胡麻化して入るなど、みっともないことだよ」文哉が責める口調で言った。

文哉に言われて、真弓の顔色も暗くなった。

「まあいい」文哉が突然妥協して、優しく言った。「僕の傍についてきて、聞かれたら、僕が連れてきたと言っとくよ。何と言っても、部外者から見れば、僕たちは恋人同士だから」

そう言って、文哉が手を伸ばして真弓の手を繋ごうとした。

真弓に避けられた。

文哉の顔色が一瞬変わった。「真弓、気を利かせてよ、君を助けようとしたぞ」

「ご厚意有難う」真弓が冷たく断った。「君は自分の事に気使ってよ」

話し終わって、真弓が文哉の前から去って行った。

文哉の顔色が暗くなった。真弓を見つめて、完璧なスタイルに合わせたロングドレスの引き立てで、真弓が花のように美しかった。

「耐えられない」紀子が兄さんと真弓の動きを見て言った。「兄さんは真弓を助けようとしたのかよ!」

瑠璃子も更に悔しかった。

すでに分かれたのに、文哉はまだ真弓のことを諦めなかった。

真弓に文哉を取り戻せないと決意した。

「紀子」瑠璃子が紀子の耳に近寄って言った。「真弓が胡麻化して入ったら、私たちはこうすれば......」

瑠璃子の話を聞いて、紀子の顔に険悪な微笑みが浮かんだ。

二人がホールの入り口に向かった。

真弓が宴会会場の奥に行って、シャンパングラスを持って少し味わった。

冷たい視線でハイエンドの宴会の様子を一通り見ていた。

確かに権力者と実業家ばっかりだった。中には新聞報道でしか見たことのない人物も沢山いた。

勿論、瀕死状態の千葉グループへの融資のために、鉄面皮になって付き合った沢山の人もいた。

彼女は落ち着いて
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