真弓が和彦の手を取り、宴会の隅に向かった。ボディーガードが後ろについて、距離を置いていた。和彦が嫌いだったから。真弓が真面目に和彦にケーキを選んだ。「姉さん、子供も連れ込んだのか?!」瑠璃子が紀子をお供をしてデザートを食べていた。先ほど凄く怒っていたので、落ち着くには結構時間がかかった。また真弓に出くわした。「瑠璃子、お父さんに言われただろう。今日の宴会は特別で、失礼な行動を取らないでね。ひたすらでたらめなことをしたら、私が何か変わった行動をとるかもしれないよ」真弓が忠告した。真弓に言われて瑠璃子の顔色が一瞬変わった。真弓を怒らせることを敢えてできなかった。紀子は真弓を恐れなかったが、突然井上雄一が宴会に入って来るのを見かけて、急いで向かって行った。今宵ここに来る主な目的は井上雄一に会うためだった。雄一は樋口グループ傘下企業の風見メディアの知名度高い監督で、彼女がヒロインから替えられたドラマの監督だった。勿論、監督ではこんなレベルの宴会に招待されない筈だが、彼はもう一つの身分があった。孤児で旦那様に引き取られ、ずっと旦那様の傍で育てられ、旦那様に大切されていた。「井上監督」紀子が挨拶した。雄一が紀子を見つめた。同じエンタメ業界で、勿論知っていた。「千葉さん」雄一が挨拶した。「どうして急に私を替えたのか教えていただけませんか?」紀子が単刀直入に聞き出した。「これは会社トップの決断で、具体的な原因が僕も分からない」「監督は風見メディアの株主じゃありませんか?」「つまり、これは樋口グループの決断だ」雄一が説明した。「樋口グループ?」紀子の顔色が暗くなった。風見メディアは昔から独立運営していたじゃないか?!「まさか戸川がインチキをしていたのか?」紀子が呟いた。この前、戸川に詰問した時に、否認された。「もう一度戸川に聞いたらどうだ」雄一が対応したくないから、後ろの方向に指差した。 戸川と佐藤信夫が一緒に宴会の入り口から入ってきた。彼らはこのような真面目な宴会を参加したくないが、達也にとって非常に重要な場面なので、遅くなったが、皆がやってきたのだ。「井上監督」紀子が直接雄一の前に佇んだ。雄一が少し苛立った。とは言え、それは明らかではなかった。「監督と樋口グルー
安田礼子の傲慢な姿を見て、紀子の顔が暗くなった。この女が今夜の宴会に来る資格があるのか?!まさか風見メディアのドラマのお陰で、彼女が旦那様の誕生日祝いに歌ったり踊ったりしてお祝いをするのか?!エンタメ業界では、紀子は無名だが、家族の背景があり、誰かを敬服することがなかった。一流俳優の安田礼子にしても。礼子がここまで有名になったのは、どのぐらいの人に闇ルールを使われたのか分からないほどだろう。こんな女に笑われる筋合いはない。「千葉さん、自愛せよ」雄一がメモをもらわず、一言を残して離れた。紀子が怒って体が震えた。今回の宴会で、彼女は大変腹立っていた。瑠璃子はこの時敢えて紀子に近づかなかった。怒らせるのが恐れるだけでなく、紀子が恥をかいたら、彼女まで巻き込むので、避けた方がよいと思った。丁度その時。ホールには主催者の声が響いた。誕生日パーティーが間もなく始まる。全ての人がステージの中央に目を向けた。和彦もデザートを食べてから迎えられて行った。「皆様今晩は。僕は今晩の司会者の高橋文生です。お忙しい中、樋口旦那様の古希の祝宴に来て頂き、誠にありがとうございます......」司会者が熱意を込めて宴会の挨拶をしていた。「これから、今宵の主役に来て頂きます。樋口陸様のご登場をお願いします!」会場には熱烈な拍手が響き渡った。樋口陸が達也に推されてステージの中央に来た。傍には真面目に立ったのは和彦だった。全ての注目が彼らに集まった。文哉の顔色が直ちに変わった。どんなに鈍くても、この瞬間の異常に気付いただろう。「瞬く間に俺は70歳になり、もう定年しなくてはならなくなりました!誕生日を機に、俺の孫、樋口達也を紹介させて頂きます。彼は今後北城に残しますので、是非ご支援のほどよろしくお願いします」旦那様の声が少し老けたが、言葉には重みがあった。つまり、樋口グループのことをすべて達也に託すとのことだった。司会者がマイクを達也に渡した。達也は会場の人達を見渡して、落ち着きがあり、イケメンで、本当に天下を取るような気魄だった。「皆様、樋口達也と申します」達也の声は低くて魅力的だった。文哉はこの瞬間、跪くところだった。彼は本当に樋口達也だったのかよ?!ずっと見下した消防士は樋口達也なんて?!
あり得ないだろう?!樋口達也はどうしてこんなにハンサムなの! しかし、この瞬間、認めなければならないのは、真弓と絡み合った男は、まさか樋口達也だった?!この女がどうしてこんなに傲慢になり、そして樋口家の宴会に来られて、まさか達也のお陰だったのか?!いやだ。真弓は北城で一番身分の高い樋口達也と何の関わりを持つのも許されない!「嘘!樋口御曹司がお腹が出る中年男ではなかったのか!」近くに誰かが叫んだ。「マジで!格好良すぎるじゃ?!」「北城ナンバーワンのイケメンじゃ!」「私の想像をはるかに超えた」「お子さんも格好良かった。童話の中の王子様見たい」達也は皆の想像とはるかに異なったため、全ての人を驚かせて、彼の美貌に感心されて、驚きの声がホールで響き渡った。真弓も人群れの中にいて、この高貴で背高いイケメンが落ち着いて挨拶のを見ていた。彼の声がゆっくりで控えめで圧迫感が感じられ、生まれつきの王者の気魄があり、無視することはできなかった。短い挨拶が終わり、ホールに熱烈の拍手が響き渡った。旦那様が普段、とても厳しかったが、今日も皆の拍手の中で微笑んでいた。達也が旦那様を推してステージから降りて、車椅子を管理人引き渡した。そして、皆の注目の中で直接文哉に向かった。文哉はこの瞬間、恥ずかしくて顔が真っ赤になった。達也が彼に向かって来るのを見て、文哉は圧迫されて、一歩後退りをしていた。ホールの皆が達也の動きを見ていた。身分が公開されてから、達也の一挙手一投足が皆の注目になった。達也は文哉の前に立って、文哉より頭一つ背が高くて、手を伸ばして言った。「千葉君、初めまして、樋口達也と申します」文哉の顔色が青ざめた。もし、さっきの見間違いがなければ、達也からの挨拶は文哉にとって一生の光栄になるが、さっきのことで、彼は恥ずかしくて逃げる気持ちでいっぱいだった。この時、周りから揶揄って嘲笑う視線が文哉を侮辱していた。明らかだった。達也はわざと彼を皆の前で恥をかかせるつもりだった。「初めまして」文哉はやっと手を伸ばした。しかし、手が届くところに、達也は手を引っ込めた。文哉の手は空中に凍り付いた。達也は淡々と笑って一言残した。「僕は平凡ですが、次回見間違いないよう宜しくお願いします」
「真弓!」真弓に揶揄われて文哉はノーコン状態になるところだった。「今、君を注目している人が多い」真弓がさりげなく注意してやった。「続けて恥をかくつもりなら勝手にしろよ」「お前!」文哉が歯を食いしばった。この瞬間、周りを一通り見た。時々、彼を見てささやく人がいた。文哉は恥ずかしくて堪らなかったので、手を振ってホールを出て行った。文哉の後姿を見て、笑うのをやめて普通の表情に戻した。彼女は周りを一通り見て、近くに囲まれてお世辞される達也を見かけて、向きを変えて出ようとした。今日、達也に頼まれて、彼の人生での重要な場面を立会すると同時に、和彦に会うためにここに来た。目的達成したので、彼女がこれ以上ここにいる必要はないと思った。彼女は社交が好きじゃなかった。やむを得ない時だけが行くのだった。「鈴木さん」横山が突然現れて彼女を呼んだ。「初めまして、僕は樋口社長の助手横山明です。離れないで、待ってって社長に言われて伝えに来ました」真弓が眉をひそめた。 彼はどうして自分が離れようと分かったのか?!ずっと囲まれて、気配りの余裕がなかったのに。「僕はそっちに行きますが、鈴木さんがご自由にどうぞ」横山が話し終わって急いで出て行った。若奥様が断るのを心配だった。明らかに若奥様が待ちたくなかったと見えた。真弓は結局残ることにした。和彦が喜んで走って来るのを見かけた。「ママ、帰ってないと思いました。僕に付き合ってくれますよね?」「......うん」真弓が少し気が弱かった。彼女は帰る計画だった。「ママ、ホールが嫌いなら、後ろのガーデンに行ってもいいとパパに言われました。ガーデンにはブランコがあります。遊びに行きませんか?」和彦が熱意に誘った。「いいよ」和彦が真弓の手を繋いでガーデンに向かった。2、3歩歩いたところ、向かい側にウエイターが急に何かにつまずき、倒れそうになり、手に持っていたパレットに乗せたワインとシャンパンのグラスが二人に飛んできた。真弓は急いで和彦を引っ張って、傍へ避けようとした。それでも、赤ワインがドレスの一部にこぼれてしまった。「ごめんなさい、ごめんなさい」ウェイターは恐怖で顔色も青白くなった。真弓は頭を上げてウェイターの傍に立っていた紀子と瑠璃子を見つめた。
真弓の目が鋭くなった。 紀子が向きを変えて傲慢に去って行った。真弓が無茶して残るわけには行かないと思った。その時。「びりびり」布を引き裂く音が突然ホールの中で響いた。紀子が2秒ぐらいぼんやりした。自分のチューブトップのドレスが突然引き裂かれたのを見て信じられなかった。肌色のバストが皆の前に現れて、紀子が死ぬほど恥ずかしくなった。瑠璃子も傍にいたが、びっくりして動けなかった。紀子の惨めな姿を見て、彼女は傍観することにして、しかも2歩離れた。明らかに紀子と距離を置くことにした。紀子は自分の胸を両手で抱えて、振り返って和彦を強く睨んだ。和彦のピカピカ光った革靴がしっかりと紀子のドレスの裾を踏んでいた。彼は無邪気な表情で言った。「おばさん、僕のような子供を苛めないでしょうね。僕はまだ6歳です。わざとじゃありません」紀子が怒って顔から首まで赤くなった。このクソガキは彼女がさっき話した言葉を使って攻めてきたのか!樋口達也のお子さんじゃなかったら、パンチを食わせて殺してやると思った。「おばさん、ドレスも敗れたので、こんな大切な場に居続けると不味くて、しかも僕のおお爺さんとパパに失礼でしょう」和彦が黒い目を瞑って、とてもピュアで人畜無害だった。真弓が我慢できず笑ってしまった。和彦のこの高い知能は遺伝されたのか?!自分の目で見てないと、6歳の子供がこんなに早く反応するとは信じられなかった。正直に言うと、彼女もこのような復讐の仕方を考え出せない。本当にざまを見ろ。「ああ!」紀子が耐え切れず狂ったように叫び出した。まさか子供にここまでいじめられるとは思わなかった。康夫と晶子がすぐに駆けつけて来て、娘の惨めな姿を見て、顔色が暗くなった。康夫はスーツを脱いで娘の肩に掛けて彼女の恥ずかしさを隠した。「お父さん、彼がわざと私のドレスを踏んだの」紀子が康夫を見て、泣きながら言った。康夫が和彦を見つめた。和彦も恐れることなく無邪気な顔で彼を見返した。康夫が敢えて和彦の機嫌を損ねられないので、娘に冷たく言った。「お母さんとさっさと帰って、恥をかかせないでくれ!」「お父さん!」紀子がこのまま帰りたくなかった。「どうしたの?」低くて魅力的な声が伝わって来た。真弓は視線を向けて。達也の背高い姿
紀子がその場で呆れた。達也の気魄に脅かされた。しかし、次の瞬間、彼女は突然大声で必死に言い出した。「樋口達也、真弓はどんな人かと知っているの?彼女はだらしないし、尻軽で、帰国したばかりの君は知っているか?彼女は18歳の時に不倫して、子供を産んだの。今でも兄さんと別れてないのに、君を誘惑し始めたのだ。彼女に騙されないで!」話が終わった。周りに噂され始めた。「まさか彼女は鈴木真弓か、本当に手段があるね。こんなに早く樋口の御曹司と関わったのか」「彼女が着ているドレスは1.6億円って、樋口の御曹司を誘惑するのに、結構お金を使ったよね」「樋口の坊やが鈴木真弓をママと呼んだね?まさか、彼女はまず坊やを買収したのか?」「鈴木真弓はやり方が上手いね......」真弓への皮肉な言葉を聞き、紀子の口元に勝ち誇った微笑みが浮かべた。彼女は真弓を気まずくさせたかった。達也に真弓がどんな人だとはっきり知ってもらいたかった。達也が真弓のことが分かってからまだ彼女を受け入れるとはあり得ないと紀子は信じていた。真弓が樋口達也と一緒になることを絶対許さないと思った。「真弓が18歳の時に嵌められて子供を産んだ。これは彼女の不幸で、汚点ではなかった。真弓の惨めな過去を誹謗中傷じゃなく、同情と慈しむべきだ」達也の言葉は冷たくて恐ろしかった。「騙されないで、彼女は浮気者で......」紀子が興奮して反発した。「今日を持って、誰かが真弓の悪口を言ったら、僕を敵に回すことになる。僕は敵に対し、絶対手柔らかにしない。」達也はゆっくり言ったが、本気だった。周りに噂話をしていた人々は息を呑んだ。達也からのやり返しを恐れていた。「真弓と千葉文哉の事だが......」達也が眉を引き上げて千葉家の人間を見て言った。「僕に皆の前で言わせてもいいか?」千葉康夫がびっくりして、急いで言い出した。「俺の躾が悪かったです。樋口様の機嫌を損ねてすみませんでした。今すぐ娘を連れ戻しますから、樋口様に是非お手柔らかにして頂きたく宜しく願いします。今すぐ帰ります!」そう言って乱暴に紀子を引っ張ってホールを出ようとした。今日は本当に面子が丸潰れだった。「ちょっと待って」達也が呼び止めた。千葉康夫が敢えて離れず、達也を見つめた。「たった今、彼女が真弓のド
「ごめんなさい」紀子がやっと頭を下げた。 莫大な恥で彼女はその場で制御不能になるところだった。「もういいよ」真弓の微笑みはさらに深くなり、気前よく見えた。どうせ、このぐらいでは紀子にとって十分だった。娘が謝ったのを見て、康夫が急いで達也に聞いた。「樋口様、娘を連れ戻してもいいですか?」「このようなことを、二度としないでね」「分かりました。戻ってしっかり教育してやります」紀子を引っ張って、康夫が狼狽な姿で立ち去った。彼らが出て行った。ホールの中、元通りに賑やかになり、その中の相当の人達が達也と真弓を見つめた。二人が離れていたし、何のつながりもなかったのに、どうして一緒になったのか信じられなかった。でも、事実は事実だった。「今宵はちょっと忙しい。僕を待ってて、遅くなるが送ってやる」「いいよ。自分で帰る......」 「大人しくして」達也の声は優しかった。 しかし、拒否する余地がなかった。この男は優しいが俺様の質だった。「和彦、ママの世話をしてね」達也が命じた。 「分かりました。パパ」命を受けて和彦がすぐ同意した。達也は向きを変えて立ち去った。真弓は急いで離れた達也を見届いた。こんな忙しい時にでも、彼女を窮地から救出するために躊躇なくやって来たのか?!感動しないとは嘘だった。でも、もっと深い関係にはならなかった。「ママ、ブランコで遊びましょう」真弓は視線を引っ込めて頷いた。和彦の頭を自然に撫でていた。「和彦、さっきのこと有難うね」「ママ、どう致しまして。僕は男だとパパに言われました。男ならママを守らなければいけないです」幼い和彦の声が当然のように聞こえた。真弓の心は温まった。彼女はしっかりと和彦の手を取り、ホールを出て行った。瑠璃子が少し離れたところに立って真弓の後姿を見て、目の底に隠された険悪な光が丸見えだった。彼女は振り返ってお客さんを対応していた達也を見つめた。達也は一挙手一投足で王者の高貴な気質があり、現場にいたすべての男達が手の届かない存在だった。最初に文哉に消防士だと間違って紹介された。本当の身分を分かってから、彼への感じも180度逆転した。特に先ほど文哉に会いに行った時に、文哉が達也の前でとても弱い存在となっていた。瑠璃子の心が突然
「井上監督、お久しぶりです」真弓はグラスを持ち上げた。「鈴木さんの胃が弱いから、飲まない方がいいですよ」雄一が言った。それでも彼女に合わせて一口飲んだ。真弓も少し飲んだ。二人はお互いをあまりよく知らないので、口数も少なかった。「達也君」お客さん対応している達也を見て雄一が言った。「いい人です」達也君?少し考えてやっと思いついた。樋口のことを言ったのだ。雄一は樋口旦那様の養子で、皆が知っている通り、達也と仲が良かった。真弓は沈黙した。達也へ何のコメントも出さなかった。「遅かったので、先に帰ります」雄一が優雅にゴブレットを置いた。樋口旦那様がとっくに帰ったので、宴会場にはただ達也が残されてお客さんを対応していた。「お気をつけて」真弓が礼儀的に微笑んで言った。雄一が顎を下げて、口元を引き上げた。彼は礼儀正しくて、真面目で、すぐ相手に好感を持たせた。雄一が宴会ホールを離れた。戸川と信夫も相次いで離れた。離れる前に二人とも何回か真弓を見た。真弓は二人を無視した。その時、ただひたすらにどのぐらい達也を待つのかを考えていた。酔ってしまうところだった。その時、突然達也が後ろのガーデンに行くのを見かけた。真弓はフォローしようと思ったが、追いつくことができなかった。ガーデンの中。「礼子」達也が彼女の手首を掴んだ。礼子はうずうずして言った。「放せ」「一晩中、どこへ行ったの?」「私の勝手だよ」礼子が達也の手を振り払った。「家まで送ってやる」達也が率直に言った。礼子が不満そうに言った。「こんなに早く帰りたくないよ。これから友達と二次会に行くのだ」「何時だと知ってる?また飲み会か?」「君は老人かよ?今は11時だ」「明日撮影があるだろう」「起きられる......」「横山」達也が命令した。「はい」横山が敬意を払って礼子に向かった。「礼子さん、送ります」礼子は達也を睨んで、抵抗できないとわかっていたた。ドラマと同じ、やれっと言われたら、やるしかなかった。彼女は怒って出て行った。達也はすぐ宴会場に戻った。これと同時に。文哉が暗闇の隅から出て来た。今夜、恥をかいて離れて行くのが悔しかったし、残しても周りに指図されるから、彼は後ろのガーデンに行ってタバコを