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第46話

「井上監督、お久しぶりです」真弓はグラスを持ち上げた。

「鈴木さんの胃が弱いから、飲まない方がいいですよ」雄一が言った。それでも彼女に合わせて一口飲んだ。

真弓も少し飲んだ。

二人はお互いをあまりよく知らないので、口数も少なかった。

「達也君」お客さん対応している達也を見て雄一が言った。「いい人です」

達也君?

少し考えてやっと思いついた。樋口のことを言ったのだ。

雄一は樋口旦那様の養子で、皆が知っている通り、達也と仲が良かった。

真弓は沈黙した。達也へ何のコメントも出さなかった。

「遅かったので、先に帰ります」雄一が優雅にゴブレットを置いた。

樋口旦那様がとっくに帰ったので、宴会場にはただ達也が残されてお客さんを対応していた。

「お気をつけて」真弓が礼儀的に微笑んで言った。

雄一が顎を下げて、口元を引き上げた。

彼は礼儀正しくて、真面目で、すぐ相手に好感を持たせた。

雄一が宴会ホールを離れた。

戸川と信夫も相次いで離れた。離れる前に二人とも何回か真弓を見た。

真弓は二人を無視した。

その時、ただひたすらにどのぐらい達也を待つのかを考えていた。

酔ってしまうところだった。

その時、突然達也が後ろのガーデンに行くのを見かけた。

真弓はフォローしようと思ったが、追いつくことができなかった。

ガーデンの中。

「礼子」達也が彼女の手首を掴んだ。

礼子はうずうずして言った。「放せ」

「一晩中、どこへ行ったの?」

「私の勝手だよ」礼子が達也の手を振り払った。

「家まで送ってやる」達也が率直に言った。

礼子が不満そうに言った。「こんなに早く帰りたくないよ。これから友達と二次会に行くのだ」

「何時だと知ってる?また飲み会か?」

「君は老人かよ?今は11時だ」

「明日撮影があるだろう」

「起きられる......」

「横山」達也が命令した。

「はい」横山が敬意を払って礼子に向かった。「礼子さん、送ります」

礼子は達也を睨んで、抵抗できないとわかっていたた。ドラマと同じ、やれっと言われたら、やるしかなかった。彼女は怒って出て行った。

達也はすぐ宴会場に戻った。

これと同時に。

文哉が暗闇の隅から出て来た。

今夜、恥をかいて離れて行くのが悔しかったし、残しても周りに指図されるから、彼は後ろのガーデンに行ってタバコを
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