第49話

......

同じ夜空の下。

礼子は不機嫌そうに樋口家の邸に送られた。

彼女は歩きながら電話をかけた。「千尋、どうして今夜信夫と一緒にお爺さんの誕生日パーティーに来なかったの？」

「忙しくて、今も残業だ」

「佐藤家に力を尽くして何のためか？信夫が感謝してくれたのか？彼は外に女がいっぱいいるのよ！」

「私は信夫の為じゃなく、自分のためだ」

「口が堅いね」

礼子が二階に上がり、さりげなく扉を開けて、携帯を耳と肩の間に挟み、手を後ろに伸ばしてジッパーを下げて、タイトなドレスを脱いで、ドレスが腰まで下ろした時......

バスルームのドアが突然開けられた。

雄一がバスルームの入り口に佇んで、彼の目が一瞬止まった。

礼子が一瞬心が揺れたが、次の瞬間、まるで見ていないかのように、自然にドレスを脱ぎ続け、電話を続けた。「要するに、信夫に貢献する必要はない」

「分かってる」

「そうだ、電話したのは、最近北城でドラマの撮影をするから、しょっちゅ会って話そう」

「いいよ」

「私はもう家に着いた。残業をやめて、早く戻って休んでよ」

「うん、じゃね」

電話を切って、礼子が既に背を向いてくれた雄一を見て、耳まで赤くなった。

彼女は口元に皮肉な微笑みを浮かべて、さりげなく言った。「井上監督はいろんな女を見たので、恥ずかしいふりをする必要があるのか？！」

雄一が唇を窄めて言った。「僕のバスルームの湯舟が水漏れで、君が帰ってこないかと思った」

どうして彼女のバスルームを使ったのを説明したつもりだった。

「兄さんに強いられて戻った」礼子が言い続けた。「今晩、紀子と一緒にいる筈じゃなかったのか？こんなに早く終わったのか」

雄一の喉仏が動いた。

「眠いから、シャワーを浴びて寝るから、おじさんがバスルームを使い終わったら帰っていいよ」礼子がさりげなく言ったが、雄一が応答してくるとは思わなかった。

「服を着替えたの......」

「着替えたよ」

雄一が振り返った。

礼子がゆったりとしたバスローブを着て、手に火つけた煙草を取っていた。

雄一が薄い唇をわずかに動いたが、話そうとした言葉を結局話せなくて、部屋から出て行った。

ドアを閉めてくれた。

礼子の仮面は降ろされた。

これは彼女がここ数年、この屋敷に戻りたくなかった原因だった。

......