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第56話

真弓は深呼吸をした。公私混同しない、彼女はいつもそうだった。

頭下げてショートメールの着歴を見て、無視することにした。

洛田城。

達也は樋口グループ支社のオフィスに座り、静かの携帯を見つめて、顔が暗くなった。

傍にいる横山が大きく息を吸うことも敢えてできなかった。

何があったか分からなかった。元々、今回の突撃審査で、支社の各項目に問題なくてよかったと思ったが、どうしてボスの顔色が暗くなったのか分からなかった。

「横山」

「はい」

「明日朝の便を予約して北城へ戻る」

「明日既に洛田城のキーパーソンとの食事を予約したじゃないですか?」審査と同時に、お客さんとの会食もついでにアレンジした。

「明日夜の便で」達也が言葉を替えた。

でも、明日に必ず帰る。

「......分かりました」横山が丁寧に回答した。

明日夜、食事終わったら深夜になるだろうと思った。

若奥様のことだろうか?!

洛田城に着いてからずっと携帯を見ていた。会議中にでも携帯の黒い画面をしょっちゅう見てぼんやりしていた......やはり恋に落ちた男は、普通の目で見てはいけない。

......

北城、撮影現場。

改めてキスシーンを撮影し始めた。

礼子が気分を見直していた。俊介が隣で一生懸命に礼子と話をして、できるだけ馴染んで、気まずくならないように努力していた。

スタッフが話し出した。「三番目一回目のシーンの2回目のショット、スタート」

二人の役者がすぐキャラになり切った。

さっきのキスシーンの前の部分が使えるので、直接キスシーンに入った。

俊介が礼子を壁ドンして、頭下げてキスしようとした。

唇が近づいた瞬間......

「ごめんなさい」礼子がまた避けた。

俊介が気まずくなった。

「カット」

雄一が立ち上がり、礼子と俊介に向かって言い出した。「礼子さん、ちょっと来て」

礼子が唇を窄めて雄一の後ろについて行った。

二人が相次いでスタジオの隅まで歩いて行った。

「キスシーンを削除してやるから、次のシーンを準備して」雄一が言った。

礼子が驚いた。

雄一に叱られると思った。

どうせドラマのスケジュールを遅らせたから。

雄一と協力したことがなかったので、今回、兄さんに強いられなかったら、彼に協力することはないだろう。でも、エンタメ業界はそう大きくなかった。噂
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