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第61話

「寝たよ」

「起こしてごめん」謝るたびに、彼からの誠意を感じることができなかった。

社交辞令なら、次回、彼はまた「ごめん」なことをしてしまう。

「何か御用?」

「戻って来たと伝えるだけ」

「分かった」真弓の回答は冷たかった。達也の疲れ切った様子を見て、淡々と口を開いた。

「電話で伝えればいいのに、わざわざ深夜にくることないだろう」

「携帯が壊れたと思った」

彼女が返事しないことを責めたのか。

「最近忙しかった」真弓が言い訳をした。

「鈴木真弓......」

「遅いから、帰っていい」真弓は直接彼の話を中断した。「明日仕事がある」

達也が言い出そうとした話を飲み込んだ。

「お気をつけて」

話し終わって、真弓は直接ドアを閉めた。

達也を部屋に入れなかった。

目前の閉ざされたドアを見つめた。

確かにそれは錯覚ではなかった。

真弓は今、故意に彼を避けていた。

その夜、彼は変わったことを何もしなかったし、それに、今まで真弓が徐々に彼を受け入れてくるようになったと感じた。

それで、一体何があって、真弓に再び押しのけられたのか?!

達也が向きを変えて、真弓のマンションを出た。

入り口で待っていた車が離れた。

達也の顔色が暗くなって、電話をした。

横山は急いで電話にでた。「ボス」

「どこにいる」達也の言葉は冷たかった。

「......若奥様の家に行ったじゃありませんか?」

「戻ってくれ!」

「分かりました」横山は急いで運転手に向きを変えて戻ってもらった。

ボスは若奥様に追い出されたと思った。

大変だった。

若奥様は変わり者だね。

女なら、誰でもボスと一緒に過ごしたいし、裸になってボスのベッドに這いあがりたかった!

横山は急いでボスの前に戻り、丁寧に車のドアを開けた。

達也は横山を一瞥した。

横山の心臓が震えた。

最も恐ろしいのは空気が突然に静かになることだった。

案の定。

「携帯と財布をくれ」達也が命令した。

横山が震えた手で自分の携帯と財布を渡した。

「車を出せ」

車が離れた。

横山が一人で午前3時の道路に捨てられ、走って行った車を見て......泣きたい気持ちだった。

......

それから1ッか月後。

真弓は秋の新製品の発売に全力で取り組んで、細かい事でも対応していた。

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