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第65話

真弓は一瞬躊躇して、やはり達也と一緒の車に乗った。

「お嬢さん!」警察が彼らを止めた。「署に同行して調書をお願いしたいですが」

「金子、警察署に行って、白川の車を残して待ってもらう」

「分かりました。会長、先に病院に行ってください」金子が急いで言った。

真弓と横山が達也を支え助けてマイバッハに入った。

車は急いで北城の中心部にある第1私立病院に向かった。横山が助手席に座って、早速樋口家の掛かりつけ医に予約を入れた。

真弓は時々達也を振り返ってみた。

彼が後部座席にもたれかかり、目を閉じて顔色が悪かった。

一体鉄棒でどこまで傷つけられたのか?!

骨と臓器を傷つけたのか?......

真弓は続けて考える勇気がなく、ずっと車のナビゲーションを見つめて、出来たら瞬く間に病院に着きたいと思っていた。

2時間後、車が着いた。

白衣の方々がすでに病院の入り口で待っていて、看護師は急いで達也を車から持ち上げた。

達也の体に触った瞬間、真弓は明らかに彼の悲鳴を聞いた。

痛いか?!

真弓は手を握り締めた。

彼女はお医者さんと一緒に手術室へ向かった。

「心配しないで」達也が運ばれて行く前に真弓を慰めた。

真弓は唇を固く噛み締めて、達也のことを考えて、心が複雑の気持ちになった。

達也が出張から戻って1か月以上経ったが、彼女はずっと生ぬるい気持ちで対応していた。

和彦がいる食事に彼女は出席するが、食事中にただ和彦と会話をしたりして、達也と何のコミュニケーションもなく、眼つきの交流もなかった。

達也は最初に積極的だが、段々と彼女の冷たさに慣れて、話さなくなった。

それにしても、達也はしょっちゅう和彦を連れて会いに行ったりしていた。

和彦が彼女への依存を満足させるためだけだと思った。

今日、達也が突然に現れて、確かに彼女を驚かせた。

真弓は緊張して閉ざされた手術室のドアを見つめ、拳をますます強く握りしめた。

丸3時間だった。

手術室のドアが開けられ、達也は医師と看護師によって推して出てきた。

横山が早速駆け付けて興奮して聞いた。「先生、ボスはどうだったのですか?」

真弓は遠くないところに立っていて、心臓が壊れそうにドキドキしていた。

「命に別状はないですが、背中の怪我は酷くて、筋肉は広範囲に損傷を受け、右肋骨はわずかに骨折し、腎
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