第70話

「明日、仕事終わったら来るよ」真弓は同意した。

「よかった」感謝の言葉もなく、彼は口元を大きく引き上げた。

あざとい男だった。

真弓は病院を出た。

横山が急いで病室に入ってきた。「ボス」

「トイレまで支え助けて」達也が命じた。

「こんないいチャンス、どうして若奥様に手伝ってもらわなかったのですか？」

達也が横山を一瞥した。

横山が震えながら微笑み、急いで言葉を変えた。「ボスは正々堂々で、あざとい男じゃありません」

「......」達也の顔がさらに醜くなった。

彼はただ真弓に頻尿で腎臓が悪いと思わせなかった。

横山が達也を支え助けてバスルームに入った。

達也の目が止まった。

「ボス、ズボンを脱いであげましょうか」横山が気配りをして言った。

ボスが恋に落ちてから、彼への「寵愛が失った」

彼は機嫌を取ろうとしたが、良く的を外れた。

チャンスがあればごますりしたくなった。

「出ていけ」達也の声が冷たかった。

またどこかでボスの機嫌を損ねたのか？！

彼の好意は報われなかった。

横山が悔しくて出て行った。

達也がゴミ箱に捨てられたタオルを目にした......

真弓は彼のことがどれほど嫌っていたのか!

......

翌日。

真弓が仕事に出かけた。

瑠璃子が入り口で待っていた。彼女の後ろについて会長室に入った。

「姉さん、お父さんが昨日ずっと電話したが、どうして出ませんでしたか？」瑠璃子が少し怒った。

「病院にいて、携帯の電池が切れた」真弓が冷たく言った。

「充電してからどうして返事くれませんでしたか？お父さんがどれ程心配したか知っていますか？」

「私のことを心配したと思いますか？」真弓が座って冷たい目つきで彼女を見つめた。

瑠璃子は唖然とした。

真弓を欺くことができないと知っていた。

「やるべきことが山ほどある。他に用がなければ、出てもいい」

瑠璃子は歯を食いしばって、結局、真弓を追い詰めることが出来なくて、出るしかなかった。

出てから直ぐ一夫に電話をかけた。

次の瞬間。

真弓の携帯電話が鳴った。

一日で一夫に電話しなかった。そろそろいいと思った。

「真弓、よくやるね！俺の電話にも出てくれないのか？」

「チェッ」真弓が冷笑した。「貴方の電話は聖旨ですか？自分が皇帝様と思ったの