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第98話

とにかく真弓の失敗を見るのはいずれのことだ。

真弓が惨めに敗北した時に、どんな面で傲慢を気取るかを彼は楽しみにしていた。

......

真弓は携帯を置いて、抑えきれない怒りを感じた。

文哉が裏切ったのを理解していた。感情というのは、好きなら好きで、嫌いなら嫌いだから、誰をも無理させることはできない!

しかし、彼がこんなに卑劣になると、こんなに恩知らずにできるとは思っていなかった!

彼のために努力したこと、今のように後悔したことはなかった。

彼女悔しく思った。

千葉グループを破産の間際から生き返らせることができたから、再び元通りに戻すこともできる!

文哉への我慢は限界に来ていた。

携帯にショートメールが届いた。

開いて見ると、達也から送られてきたいくつかのファイルが目に入った。

真弓の喉が動いた。

今はもう、再び他の人を信じるべきかどうか、自分でもわからなくなってしまった!

実の父親が利益のために彼女を捨てて、自己責任で生きてもらったことがあった。

かつて深く愛してくれた男も、利益のために彼女と敵対し、彼女のすべてを奪い取り、彼女を潰せようとしていた。

真弓は最期に携帯を置き、達也に一言も返さなかった。

たとえ「ありがとう」でも返信しなかった。

......

翌日。

星野グループの記者会見現場に、人でいっぱいだった。

星野グループが招いたメディアは10数社だけだが、来てくれたのは少なくとも100社を超えた。北城のメディアは殆ど来ただろうか。

真弓が事前に予想したので、大きめの会議室にして、デザートと飲み物も十分用意された。

金子が丁寧にノックして会長室に入った。「会長、記者達がほぼそろったので、ご出席をお願いします」

「瑠璃子に来てもらって」真弓が指示した。

金子が少し驚いたが、すぐに答えた。「分かりました」

暫くして、瑠璃子がやって来た。

彼女が口を開く前に、真弓が言い出した。「私について記者会見に行こう」

瑠璃子が驚いた。

前には記者会見に行くと一言もなかった。もし言われたら、彼女は何かの口実を付けて今日こない筈だった。今日の記者会見はきっと上手く行かない。真弓と一緒に行って巻き込まれるのを避けたいだろうが。

真弓は瑠璃子に断るチャンスを与えず、立ち上がって直接会場に向かった。

「姉さん」瑠璃子はいやい
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