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第99話

記者会見現場に入った。

賑やかだった。

記者たちは真弓が来るのを見て、写真を撮り始めた。シャッター音が鳴り響いて、フラッシュが絶え間なく光っていた。

今日、真弓は黒いスリムなスーツを着ていた。おしゃれで洗練されていて、冷静で落ち着いた姿が現場の記者達にいい印象を与えた。

少なくとも同情を引くために泣き出すことはなかった。

却って、隣に座った瑠璃子が可哀想な姿で、目が赤くなって何かを悔しんだように見えていた。

もちろん、皆の注意は瑠璃子には向けられていなかった。

真弓が入ってくると、記者たちは狂ったように質問し始めた。

「鈴木さん、今日の記者会見は、昨日報道された浮気の件を晴らすためですか?」

「鈴木さん、浮気するのは恥ずかしいと思いませんか?千葉文哉と別れたのは浮気のせいですか?」

「安田礼子がツイッターで君を支持したのは、彼女にお金でも渡したのですか?」

「千葉文哉のような素晴らしい男に申し訳ないと思いませんか?」

「星野グループは君のスキャンダルのせいで倒産する可能性がありますか?君はかつてお父さんから手段を択ばず星野グループを奪い取って、従業員に申し訳ないと思いませんか?!」

会場は騒いでいた。

真弓は黙って聞いていて、反論もせず、静粛にさせようもしなかった。

カメラのフラッシュで、元々白かった顔が少し青白く見えた。

携帯の画面の前で、文哉は冷たい目つきで真弓の生中継を見ていた。

画面には無数のコメントがあり、その日のフォロワー数の頂点となり、全国のネットユーザーが見ていた。

真弓は全国民の前で恥をかいていた。

その時、紀子が文哉のオフィスにいた。千葉グループのタレントとして仕事があって来たので、兄さんに会いに来たついでに、真弓の惨めな画面を一緒に見ていた。

もちろん、彼女は真弓だけを注目したわけではなく、真弓の事件で、礼子の事業に影響を与えることを期待していた。礼子が無条件で真弓の肩を持ったため、もし真弓が潰されたら、礼子も免れないと思った。

彼女の礼子に対する敵意は、キャラクターを横取りされ、ずっと一流の役者で活躍したことを嫉妬しただけでなく、礼子が雄一との間柄について、女性の第六感では、シンプルな関係でないと感じていたからだった。

そして彼女は今、雄一に惚れていた。

あの日、雄一に救ってくれて彼女は心が揺れた
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